築30年以上「木造一戸建て住宅」リフォーム事例。住宅が抱えやすい問題点とは

要件を満たしたリフォームには「税制の優遇措置・補助金」も

住宅も築30年以上が経過すると、屋根や外壁の老朽化が目立つようになると共に、居住者の年齢や家族構成、ライフスタイルなども変わるもの。

最初は何でもなかったことでも、生活をしていく上でさまざまな不便さを感じるようになります。

そのため水回り設備や内外装のほかに、間取り変更や耐震改修、省エネ改修といった大掛かりなリフォームが行われることが多くなります。

一般社団法人住宅リフォーム推進協議会が2023年2月に発表した「2022年度住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査」によると、リフォームを実施した方の住宅の築年数は築20年以上が65.3%になっていて、築30年以上は31.8%を占めています。

またリフォームを検討している方の住宅も築20年以上が67.4%で、築30年以上が34.7%という結果に。

そしてリフォーム検討のきっかけはリフォーム実施者・検討者ともに設備・機器の破損や構造部の老朽化が多く、実現したいことでは一部の部屋の全面改修が半数近くを占め、次いで省エネ改修、バリアフリー化、耐震改修と続いています。

したがって築30年以上の住宅では、より快適・安全に住めることを目的としたリフォーム・リノベーションが求められているといえるでしょう。

そこで本記事では、築30年以上の住宅の問題点とリフォーム事例を紹介します。

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築30年超の住宅の問題点

木造住宅では、法定耐用年数の22年が経過しても決して住めなくなるわけではありません。

実際に2011年に行われた「建物の平均寿命実態調査」によると、木造一戸建て住宅の平均寿命は65.03年となっています。

しかし一般的に国内の住宅の平均利用期間は30年程度になるといわれているため、築30年を過ぎると屋根や外壁、内装、住宅設備機器等の老朽化と共に、以下の問題を抱えていることが考えられます。

【一覧表】築30年以上の住宅が抱えやすい問題点
  • 構造躯体の経年劣化により新築時の耐震性が低下している可能性がある
  • 近年の住宅と比較して新築時から断熱性能が著しく低い可能性がある(無断熱住宅等)
  • 給排水管が老朽化しているため、いつ漏水が発生してもおかしくない状態にある
  • 間取りが現在の家族構成やライフスタイルに合っていない
  • 屋根や外壁の定期的なメンテナンスを怠っていた場合、雨漏りが発生する可能性がある
  • シロアリの食害が進行している可能性がある

築30年を過ぎた住宅のリフォーム・リノベーション事例

築30年超の住宅に今後も長く住み続けるためには、前述した問題点をできるだけ多く解消しておく必要があります。

そこで築30年を過ぎた住宅におすすめのリフォーム・リノベーション事例を3つ紹介したいと思います。

スケルトンリフォーム

住宅設備機器の交換や内外装のリフォームと断熱性・耐震性の向上、間取り変更、給排水管の交換などを同時に行うためには、スケルトンリフォームが最適です。

スケルトンリフォームとは建物の外装材や天井、壁、床の仕上げ材をすべて撤去して基礎や柱、梁などの構造躯体だけの状態にしてから新たに外装、天井、壁、床を作り直すリフォームのことです。

併せて古くなった給排水管や電気配線を一新したり、間取り変更や耐震補強、断熱改修を行なったりすることができます。

したがって、スケルトンリフォーム後には新築同様の家になり、築30年超の住宅が抱える全ての問題を一度に解決することが可能です。

省エネリフォーム

スケルトンリフォームには1000万円以上の費用がかかりますが、冷暖房や給湯などに使用するエネルギーを抑えつつ、室内の温度を一定に保った居住環境の向上を目指すことに特化した省エネリフォームであれば、リフォーム費用を抑えることができます。

家の中で最も外気の影響を受ける窓や玄関ドアを断熱性・気密性の高いものに変えたり、天井や壁・床に断熱材を充填したりすることで、住まいの断熱性能が向上し、一年中快適に過ごすことができるようになります。

さらに身体にかかる負担を軽減して、ヒートショックを防ぐなどの健康上のメリットも期待できます。

特に30年以上前に建てられた家は断熱性・気密性の低い家が多いので、効果は抜群といって良いでしょう。

また一定の要件を満たしたリフォームであれば、税制の優遇措置を受けることができたり、補助金を受け取ることができたりするので、おすすめのリフォームといえます。

バリアフリーリフォーム

30年以上前の住宅で、バリアフリーに配慮して設計されている家はそう多くはありません。

したがって今後高齢化を迎えるにあたって、床の段差解消や手すりの設置、滑りにくい床材への変更、トイレ・浴室スペースの拡張といったバリアフリー化をしっかりと行っておくことで、長く安全・快適に暮らすことができるようになります。

また開き戸は万が一将来車いすでの生活になった時に開閉が難しく出入りがしづらくなってしまうので、上吊り式の引き戸に変更しておくことをおすすめします。

バリアフリーリフォームには補助金制度を設けている自治体が多いので、一度各自治体のホームページなどで調べておくと良いでしょう。

リフォーム前には費用の把握も

築30年以上の家のリフォームでは、建物の現在の状態によっては非常に高額な修繕費用がかかってしまい、建て替えた方が安上がりになるケースもあります。

したがってリフォーム前には必ず専門家に床下や屋根裏などの目に見えない部分までチェックしてもらってリフォームが可能な状態であることを確認した上で、修繕にかかる費用を把握しておく必要があります。

現況をきちんと把握した上で適切なリフォームを行うことで、あと20年、30年と住み続けることが可能になるので、まずは信頼できる業者を探すことが重要になります。

参考資料

  • 一般社団法人住宅リフォーム「2022年度住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査」
  • 国土交通省「住宅に関する価格評価手法」

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