正直、新NISAどころではない…実際に投資しているのは「高収入」の人だけ?

【新NISA】利用意識と商品の選び方もチェック

2024年から新たに「新NISA」として再スタートを切ったNISA制度。

新NISAでは、非課税保有期間が無期限となっただけでなく、年間投資額が大幅に増額されたことで、より長期的な資産運用に挑戦しやすくなりました。

老後資金問題が騒がれている近年では、「資産運用」の利用を検討する人も増えてきていますが、今回の新NISAに対してどのくらいの人が関心をもっているのでしょうか。

今回は、実際の調査データをもとに「年収と投資の関係性」など資産運用におけるアンケート内容をご紹介。新NISAの商品の選び方なども解説しているので参考にしてください。

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【新NISA】投資している・していない人で世帯年収に差がある?

カネとホンネ調査研究所は、都市部に居住する20〜59歳で会社員の男女505名を対象に、資産運用についてのアンケート調査を実施。

新NISAスタートの背後で、サラリーマンの二極化が進んでいる様子が浮き彫りとなりました。調査概要は下記のとおりです。

  • 調査方法:Webアンケート
  • 調査対象:都市部(東京、愛知、大阪、福岡)居住、20~59歳で会社員の男女
  • アンケート母数:505名
  • 調査期間:2023年12月18日
  • 調査会社:カネとホンネ調査研究所
  • リリース公開日:2024年1月30日

投資経験の有無で「259万円」の年収差あり

カネとホンネ調査研究所の調査によると、投資経験により世帯年収に大きな差が生じていることがわかりました。

【積立投資】年収と投資のアンケート結果

「10年以上投資している」層と、「投資はしていない」層を比較すると、世帯年収で324万円、年収で259万円の差が生じています。

上記から、年収に余裕がある人ほど投資している傾向にあり、結果的に投資を行ったことで資産が増えてさらに収入差が生じてるのではないかとうかがえます。

なお、投資をしていない世帯年収は「570万円」、年収は「421万円」です。

厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」によると、世帯年収の平均は545万7000円、中央値は423万円。

また、国税庁「令和4年分 民間給与実態調査」によると、日本の平均年収は458万円でした。

上記から、平均的な世帯の多くが「投資に回すほど生活に余裕がない」と思っているのかもしれません。

【不安】新NISAなど「老後の備え」がない、年金の信用もない…85.0%が該当

同調査で「公的年金を信用しているかどうか」を聞いたところ、投資をしている人よりも、投資をしていない人のほうが、公的年金を信用していないことがわかりました。

【積立投資】投資経験と公的年金に対する信用のアンケート結果

公的年金の信用度が最も低かったのは「投資はしていない」層。なんと、85.0%の人が「信用できない」「あまり信用できない」と回答。

投資している人は投資行動により将来の資産形成や老後の収入増加をはかり、公的年金よりも「自分自身の資産で老後生活を支える」と考える人が多いのではないでしょうか。

一方、投資していない人は公的年金を「老後生活の基盤」として考えているため不安が大きくあらわれているのかもしれません。

しかし、近年の少子高齢化による保険料の値上げや社会情勢の変化など、将来の生活を支える公的年金が不透明になりつつあります。

そのため不安が「信用性の低下」につながっていると考えられます。

年収に余裕がないため投資等によって金融資産を形成できず、そして公的年金も信用できないと感じている人は、将来に対して大きな不安を抱えているのかもしれません。

新NISAスタートの背後で、サラリーマンの二極化が進んでいるようです。

【新NISA】先進国、新興国…どのような金融商品があるのか

今回チェックした調査では、今年からスタートした新NISAについては、投資している人の9割以上が関心を示し、半数以上が実際に始めるつもりと回答。

しかし、実際にどういった商品がよいのか不安に思う人も少なくないかもしれません。新NISAで検討できる金融商品をサクッと確認していきましょう。

資産運用初心者の方は、商品の仕組みが分かりやすいインデックス投資信託を選択肢として検討してもよいでしょう。

「インデックス投資信託」とは、日本の東証株価指数やアメリカのS&P500などの経済指標と同じような値動きをする商品です。

手数料が低く、1つの商品でさまざまな会社に分散投資がされているので、個別株式などに比べると、比較的リスクが低いと言われています。

インデックス投資信託の中でも、信託報酬(手数料)が低い商品かつ、多くの投資家から注目を集めている人気ランキング上位の商品であれば商品に関する情報も多く、より安心して投資を続けられるかもしれませんね。

さらに、インデックス投資信託の投資先として、アメリカや日本などの先進国の方が、ブラジルや中国などの新興国に比べて、ローリスクローリターンだと言われています。

少しリスクをとりながら大きな利益を狙いたい方は、新興国のインデックス投資信託と先進国のインデックス投資信託に分散投資をしながら保有するのがおすすめです。

「老後資金」づくりに遅すぎることはない! 新NISAの利用も検討して

投資についての知識をつける労力などがネックにはなりますが、労働以外の方法でお金を増やせる点は魅力といえます。

慣れていない人にとってお金を動かす「資産運用」は難しそうに見えるもの。しかし、いくつかの重要なポイントを押さえれば、証券会社選びや商品選びも簡単に行えます。

投資信託だからといって必ず値上がりするとはいえませんが、長期間運用を続ければ安定的な資産の増加が期待できるでしょう。

しかし、日常生活を脅かすほどの投資はライフプランを崩しかねません。何事もバランスが大切です。

少額からでも、できるだけ早いうちから投資を始めていき、購入のタイミングを分散するように心がけるのがよいかもしれません。

参考資料

  • カネとホンネ調査研究所「【調査レポート】新NISA、歓迎する声と投資どころではない現実」
  • 金融庁「新しいNISA」
  • 厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」
  • 国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」
  • 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

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