津久見高生徒が高齢者用の服薬管理装置を開発 飲み間違いや飲み忘れ防止へ【大分県】

モニターの高齢女性に服薬管理装置の機能について説明する津久見高生徒=津久見市千怒の津久見中央病院
飲み間違いや飲み忘れを防ぐ服薬管理装置を考案した津久見高普通科の生徒

 【津久見】高齢者の自立した生活を支援しようと、津久見市の津久見高生徒が服薬管理装置の開発に取り組んでいる。身近な地域社会の課題を知る「総合的な探求の時間」で、お年寄りが薬を飲み間違えたり忘れたりする問題に着目。普通、工業、商業の3学科が連携し、約1年かけて試作品を完成させた。

 高齢化が進む同市の医療・介護現場への理解を深めようと、普通科2年の6人は昨春、津久見中央病院(市内千怒)を訪問。職員らに聞き取りをした結果、「高齢者は薬の種類や飲む回数が多く、管理が難しい」という実態を知った。

 生徒は薬剤師らのアドバイスを受けながら、飲み間違いや飲み忘れを防ぐための機能を模索。装置のイメージを固め、制作は電気電子科の生徒に引き継いだ。

 試作品は昨年12月に完成。高さ29センチ、幅28センチ、奥行き13センチの箱形で、1週間分の薬を小分けにして収納できる。時間になると光や音で飲むタイミングを知らせ、インターネット環境があればLINE(ライン)に通知する機能も付けた。

 同校は装置の増産に向け、県内の公立高で初めてクラウドファンディングを実施した。商業科の生徒が資金計算や広報チラシ作りを担い、製作費の寄付を募ったところ、1カ月で目標の20万円が集まった。

 2月上旬には市内の高齢女性にモニターを依頼。2週間使用した感想や意見をもらい、新年度以降、改良を重ねていくという。完成後は市民への配布を目指している。

 普通科2年の城妃菜(ひな)さん(17)は「自分たちのアイデアが想像以上の形に仕上がって驚いた。出来上がりが楽しみ」。

 担当の古賀聖士教諭(36)は「生徒たちの発想が、ゆくゆくは医療や介護に携わる人々の負担軽減につながれば」と話した。

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