中国、今年の経済成長目標を「5%前後」に設定 全人代が開幕

中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が5日、北京で開幕した。李強首相は、今年の経済成長率目標を野心的な5%前後に設定。消費などが低迷する中国経済の活性化に向けた一連の対策を明らかにした。

李氏は全人代の冒頭、中国の経済が「困難」に直面していると認め、その多くは「まだ解決されていない」とした。

そして、「不動産、地方政府の債務、中小金融機関のリスクと潜在的な危険性は、いくつかの分野で深刻だった」、「こうした状況で、政策決定や業務においてかなりのジレンマに直面した」と述べた。

李氏はまた、新型コロナウイルスのパンデミックからの回復が遅れていることへの対応策も発表。危機に見舞われている不動産分野で新たな取り組みを進め、都市部で1200万人の雇用を創出するとした。

さらに、金融市場の規制を強化し、人工知能(AI)や生命科学など新たな技術の研究も強化すると述べた。

中国は今年、景気浮揚に力を入れるとともに、国防費を7.2%増やす。

台湾をめぐって緊張が高まるなか、中国の防衛予算の増加は、その意図を懸念する近隣諸国やアメリカが注視している。

中国の発表では、昨年の経済成長率は5.2%だった。中国としては低いが、実際の成長率はその3分の1以下との見る向きもある。

中国の調査会社オリエント・キャピタル・リサーチのマネージング・ディレクター、アンドリュー・コリアー氏は、「多くのエコノミストは、この数字は完全にでっち上げだと考えている。5.2%や5.5%の成長というのはほぼ間違いだろう。むしろ1%や2%に近いだろう」とBBCに話した。

成長率がはっきりしないとしても、中国とその指導者が気の遠くなるような経済的課題に直面していることは確かだ。

危機的状況の不動産市場、不安定な株式市場、高い若年失業率、消費者物価の下落が続く中でのデフレの脅威――などだ。

これらの差し迫った問題は、貿易や地政学的な緊張、少子高齢化などの長期的な問題によって、いっそう悪化している。

(英語記事 National People's Congress: China sets ambitious 2024 economic target

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