後継者不足…伝統のシロウオ漁を次世代へ 佐伯市番匠川漁協、技術習得に励む【大分県】

米沢万治さん(右)の指導でシロウオ漁の習得に挑戦する番匠川漁協の河村俊彦副組合長=2月下旬、佐伯市城南町の中江川
シロウオを取る網の使い方を番匠川漁協メンバーに説明する米沢万治さん(右端)=2月下旬、佐伯市城南町の中江川
中江川で取れたシロウオ

 【佐伯】後継者がいない伝統漁法を受け継ごうと、佐伯市の番匠川漁協(泥谷和喜組合長)メンバーがシロウオ漁に参加している。佐伯に春の訪れを告げる風物詩だが、漁獲量の落ち込みとともに漁師も減少。現在は米沢万治さん(83)=同市稲垣=ら80代の男性2人のみとなっており、次世代へ伝えるため技術を学んでいる。

 シロウオ漁は江戸期から続くとされる漁法。産卵のため番匠川をさかのぼる群れを竹製の「やな」でせき止め、網で捕まえる。数十年前までは地域住民が盛んに行い、一つのやなで1日に20~30キロ揚がった。その後、漁獲量が年々減り、2021、22年は年間1.5キロ、23年は同0.3キロしか取れなかった。

 2月下旬、市内城南町を流れる中江川(番匠川支流)沿いの若草児童公園に同漁協の理事7人と米沢さんが集まった。

 米沢さんが2本の竹を組み合わせた大きな網の使い方を説明した後、河村俊彦副組合長(68)=同市直川下直見=と小舟に乗り、川に設置した長さ約10メートルの「やな」へ。流れを読み、2人で協力してシロウオの群れを次々と網ですくい取った。寒風の吹く中、3時間ほどで数百匹を捕獲した。

 漁法の習得と併せ、同漁協は漁獲量減少の原因究明に役立てようと3月下旬まで約1カ月間、佐伯にやって来るシロウオを数える遡上(そじょう)調査も実施している。

 米沢さんは「個人で続けていくのは難しい時代になった。組織で取り組むのはいいこと」。河村副組合長は「風情ある佐伯の伝統を子どもたちのために残していきたい」と話した。

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