山西省運城市でエンジュの成長を観察する雷茂端さん。（資料写真、太原＝新華社配信）
【新華社太原3月7日】中国山西省運城市の塩湖区溝東村は2009年まで村民の1人当たりの年収入が千元（1元＝約21円）にも満たなかったが、各家庭で経済価値の高い樹種の「エンジュ」を植え始めたことにより、今では年収が2万8千元余りに増加している。
小さな村の大きな変化は、全国人民代表大会（全人代）代表の雷茂端（らい・ぼうたん）さんの指導の下、実現した。同村は世帯数150戸余り、約600人が暮らしている。村民たちは代々、小麦の栽培で生計を立ててきたが、1ムー（約667平方メートル）当たりの収量はわずか50キロで、村の半数以上が貧困家庭だった。こうした状況を改善するため、雷さんは率先して乾燥に強いエンジュの栽培を始めた。エンジュの蕾を乾燥させたものは「槐米（かいべい）」と呼ばれ、中医薬材料や化学原料などに利用でき、経済価値が高い。
山西省長治市長子県大中漢村で食用キノコの成長を確認する崔麗枝（さい・れいし）さん（左）。（資料写真、太原＝新華社配信）
雷さんの努力により、現在、市内のエンジュ栽培面積は約30万ムー（約200平方キロ）に上り、陝西省や甘粛省、河南省、広西チワン族自治区、重慶市などにもエンジュ栽培が広まった。雷さんはさらに、ルチン高含有品種の開発にも成功した。エンジュはもともとルチン含有量の少ない樹種だが、接ぎ木によりルチンを多く含むエンジュが誕生した。改良したエンジュの栽培面積は既に1万ムー（約6.7平方キロ）余りに上った。
山西省襄汾（じょうふん）県関村の大田植物保護ステーション。（資料写真、太原＝新華社配信）
雷さんは「私たちは全力で研究に取り組むことで、貧困地区を豊かにし、産業振興への道を切り開いた」と語った。
雷さんの物語は、全人代の代表が農村の新しい姿を率先して示した縮図と言える。雷さんらはリーダーシップを発揮し、科学技術を駆使して産業に力を与え、農村開発に新たな活力をもたらした。
農家が自宅の土地を利用して家族で農産物の生産や関連サービスを提供する「中庭経済」が盛んな山西省襄汾（じょうふん）県関村。（資料写真、太原＝新華社配信）
同省長治市長子県大中漢村に住む全人代の代表、崔麗枝（さい・れいし）さんは14年前、村に日光温室の技術を導入し、村民が野菜栽培用の温室を建設するよう支援した。13年には長子県利来農貿科技設立して、食用キノコの生産を始めた。周辺に住む村民60、70人の雇用を生み出し、1人当たりの年収は3万元以上増加した。
産業振興を基礎に、全人代の代表たちは農村のインフラと公共サービスを組み合わせ、住みやすく働きやすい美しい農村建設に力を注いでいる。
山西省襄汾（じょうふん）県関村で村民に贈り物を配る王晋剛（おう・しんごう）さん（左）。（資料写真、太原＝新華社配信）
山西省襄汾（じょうふん）県関村の全人代代表、王晋剛（おう・しんごう）さんも、農村振興に尽力してきた人物の一人といえる。同村は10年前まで、行政が行き届いていない村として知られており、断水と停電が4カ月間続いたこともある。村が最も困難な時に王さんは村の党支部書記に就任した。王さんの指導の下、村は支払いが滞っていた水道・電気料金の精算や下水処理場の建設、ソーラー街路灯の設置、ごみ問題の解決、品質の高い冬ナツメ栽培用の温室30棟の建設、かんがい用水を確保するため井戸の掘削などを進めた。
同村の村民黎紅波（れい・こうは）さんは「環境が整備され快適な生活が送れるようになったことで、村民はますますやる気と希望にあふれている」と語った。（記者/藍建中、王学濤）
山西省運城市で雷茂端さんが研究開発したエンジュ。（資料写真、太原＝新華社配信）
山西省襄汾（じょうふん）県関村の風景。（資料写真、太原＝新華社配信）
山西省襄汾（じょうふん）県関村の公衆浴場。（資料写真、太原＝新華社配信）
山西省運城市で勢いよく成長した雷茂端さんが研究開発したエンジュ。（資料写真、太原＝新華社配信）
山西省運城市で雷茂端さんが研究開発したエンジュ。（資料写真、太原＝新華社配信）
