誰もに優しい街に バリアフリー環境の整備に注力 中国江蘇省

誰もに優しい街に バリアフリー環境の整備に注力 中国江蘇省

江蘇省蘇州市のバス停で、車椅子の乗客の乗車を手伝うバリアフリーバスの運転手。(資料写真、南京=新華社配信)

 【新華社南京3月11日】中国江蘇省が高齢者や障害者の生活をより便利にする取り組みを進めている。省内各地では過去3年で、支援が必要な高齢者のいる10万世帯以上の改修工事を完了。老後を自宅で過ごす高齢者が安全で快適な「バリアフリー」の生活を送るのを積極的に推進している。

 データによると、現在中国には8500万人以上の障害者がおり、60歳以上の高齢者は2億8千万人を超える。障害者や高齢者の生活の質を高め、より尊厳ある生活を実現するため、中国はバリアフリー環境の整備を強化している。今年の全国両会(全国人民代表大会と中国人民政治協商会議全国委員会会議)期間中も、多くの代表や委員が障害者や高齢者により配慮したバリアフリー環境の整備を訴えた。

誰もに優しい街に バリアフリー環境の整備に注力 中国江蘇省

南京市内の玄武湖にあるバリアフリー公園で、ボランティア伴走者に伴われてジョギングをする視覚障害者や聴覚障害者などからなるジョギンググループ。(資料写真、南京=新華社配信)

 同省南京市の玄武湖のほとりにはバリアフリー公園がある。総面積は約8千平方メートル。センサー式の音声案内が各所に設置されているほか、レモンバームなどのはっきりとした香りを持つ植物も植えられ、視覚障害者が聴覚や嗅覚で散策を楽しめる場所となっている。

 同市江寧区には14本のバリアフリーのバス路線が走っている。地図は歩道の点字ブロックの情報を正確に反映し、バスのバリアフリー乗車案内や風景区のバリアフリーガイドなどのサービスともリンクしている。奥博鉄克(蘇州)智能科技が開発したバリアフリー地図はすでに全国17都市の85県をカバーし、サービス対象者は580万人に上る。

誰もに優しい街に バリアフリー環境の整備に注力 中国江蘇省

江蘇省蘇州市のバス停で、バリアフリーバスの外側につくられた点字付きの乗車ボタンを押す車椅子の乗客。(資料写真、南京=新華社配信)

 「以前はバスに乗ることにためらいがあった」という蘇州市在住の視覚障害者の范(はん)さん。今では地図でバスを選択するだけで、運転手に情報が届き、バリアフリーの乗車サービスを受けられるようになった。バスがバス停に着くと音声案内や携帯電話の振動などで知らせてくれる。「とても便利で、自分で外に出る勇気が持てるようになった」と語る。

 障害者などの支援を必要とする人々に対し、音声や字幕、手話などの情報交流サービスを提供する場所は増えている。無錫市は障害者の外出向けのバリアフリーアプリ「霊錫」を打ち出した。乗車コードをオンラインで取得すれば、地下鉄やバスを無料で利用でき、公園にも無料で入れ、バリアフリー地図の検索もできる。省内の多くの公共図書館は視覚障害者向けの閲覧室や特別エリアを開設し、点字やオーディオブック、大活字本などの設備やソフトウエアを提供している。(記者/何磊静)

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