パキスタン、中国との協力で高収量の小麦を開発

パキスタン、中国との協力で高収量の小麦を開発

 【新華社イスラマバード3月13日】パキスタンのイスラマバードにある国立農業研究センター(NARC)に車で入ると、一面の菜の花畑を通り過ぎた先に、広々とした小麦畑が目に飛び込んでくる。栽培試験用の畑で、品種ごとに標識が立てられており、中国と同国の研究者が共同で開発する小麦の新品種もここで育てられている。

 中国農業科学院作物科学研究所はパキスタンの関係機関とすでに10年余り研究を続け、同国のパキスタン人研究者をこれまでに9人育成してきた。同研究所は長年の協力関係を踏まえ、同国のカイディアザム大学やNARC、国際トウモロコシ小麦改良センターと共同で、中国・パキスタン小麦分子育種国際合同実験室を設立している。

 同研究所の何中虎(か・ちゅうこ)研究員は長期にわたり小麦の育種研究に取り組み、分子マーカー育種の分野で豊富な経験を積んできた。パキスタンでの取材に対し、「分子育種の新技術を用い、パキスタンの小麦育種レベルを向上させたい。特に耐病性を高め、現地の食糧の安全保障に貢献したい」と語る。

 合同実験室のパキスタン側責任者は、両国が共同で育成した研究者で、中国に十年以上住んで働いていた経験も持つオワイス・ラシード氏が務める。パキスタンは小麦消費大国であり、気候変動に適応した小麦の新品種を育てることが食糧の安全保障にとって極めて重要だと同氏は指摘する。

 実験室はすでに、同国北部地域での栽培に適した小麦を2品種を開発している。ラシード氏は「この2年、私たちは新しい小麦品種の試験を続けてきた。新品種の生産量はこの地域で元々栽培されていた品種に比べて8~10%多い。新品種の導入によって現地の小麦の増産と農家の増収が期待できる」と話す。

 何研究員によると、両国が共同開発した新品種は、現地の優良小麦品種と比べて成熟期においては大きな差がないが、背丈がやや低いことから倒れにくい。また分子マーカー技術を通じて中国の小麦品種が持つ黄さび病と赤さび病への耐性遺伝子をパキスタンの小麦品種に導入することで、高生産量と耐病性の効果を実現したという。

 ラシード氏によると、同実験室は人材の交流や育成も推進している。来月にはカイディアザム大学で小麦分子育種技術のトレーニングを実施し、同国の研究者50人近くに新技術を学ぶ機会を提供する計画だ。

 パキスタンの国立遺伝子先端生命工学研究所(NIGAB)のショーカット・アリ主任科学責任者は「食糧の安全が確保できてはじめて、発展に関する他の問題も容易に解決できるようになる。農業の発展促進は、パキスタンの経済力を高めるだけでなく、周辺地域にも持続的な良い影響をもたらす」と期待を示した。(記者/唐斌輝、張敬尭)

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