【日銀】マイナス金利政策の解除を決定、2024年3月18日からの「金融政策決定会合」

「2%の物価安定目標」達成の確度がポイント、2024年春闘の集計結果をチェック

日本銀行は、3月18日・19日にて開催中の3月「金融政策決定会合」にて、マイナス金利政策の解除など大規模な金融緩和策の見直しを決定しました。

今回、マイナス金利政策を解除を決定したことで、2007年2月以来、17年ぶりの利上げとなります。

2024年3月18日時点、物価と賃金がともに上昇する状況を見通せれば政策変更の是非を検討するとしてきましたが、2024年春闘の賃上げ率が高水準であるという数値の裏付けができたため、環境が整ったとされます。

※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。

解除が決定した日銀の姿勢「イールドカーブ・コントロール」とは

日銀「イールドカーブ・コントロール」とは

日銀は、短期金利をマイナス0.1%、長期金利を0%程度とする「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)」の姿勢を続けています。

これまで日銀は賃金上昇を伴った「2%の物価安定目標」達成の確度が高まれば、政策変更の是非を検討すると説明してきました。2023年9月、植田和男総裁は「春闘の動向が一つの大きなポイント」と指摘して経緯があります。

政策変更では、長期金利を低い水準で抑えるために長期国債を買い入れる枠組みの変更や、上場投資信託(ETF)の買い入れ策の停止なども検討されています。

【2024年春闘】平均賃上げ5%超え、33年ぶりの高水準へ

政策正常化に向け、2024年春闘の動向を注視していた日本銀行。

結果的には、金融政策決定会合で利上げへの踏み切りを後押しする内容で、環境が整ったとの見方が出ていました。

【2024年春闘】第1回回答集計:賃上げ(月例賃金)

2023年3月15日、日本労働組合総連合会(連合)が発表した春闘の第1回「回答集計」は、平均賃上げ率が5.28%。中小企業は4.42%で、1992年(5.10%)以来の高い水準でした。

人手不足や物価高が続く中、3月4日時点の平均賃金方式の賃上げ要求(3102組合)は5.85%と30年ぶりに5%を上回る結果となりました。

3月13日の集中回答日には労働組合側の要求に満額回答する企業が相次ぎ、自動車総連の平均賃上げ率は5%超え。なかには三菱重工業(8.3%)、日本製鉄(14.2%)など、さらに高水準で妥結した企業も見受けられます。

なお、毎月の基本給を引き上げる「ベースアップ」は3.7%で、予想中央値は2.5%。こちらも予想を上回る結果となりました。

参考資料

  • 日本銀行「金融政策の枠組みの見直しについて」(2024年3月19日公開)
  • 日本銀行「植田総裁記者会見(2月29日)」(2024年3月4日公開)
  • 日本銀行「わが国の経済・物価情勢と金融政策(2月29日)」
  • 連合「33年ぶりの5%超え!有期・短時間・契約等労働者は一般組合員を上回る ~2024春季生活闘争 第1回回答集計結果について~」

© 株式会社ナビゲータープラットフォーム