住民が立ち寄れる自宅サロン「和」開設10年 大分市の広瀬さん「仲間に感謝」【大分県】

100回記念の歌声サロンで、「The 3Gs」の演奏に合わせて歌う参加者=大分市城南南町
自宅でコミュニティーサロンを開く広瀬惇子さん

 【大分】大分市城南南町の広瀬惇子さん(78)が自宅にコミュニティーサロン「和(なごみ)」を開設して10年以上になる。「地域の人たちが気軽に立ち寄り、話せる場所に」という思いは一貫して変わらず、週3日のオープン日には、訪れる人たちの笑顔が広がる。誰でも自由に参加できる月1回の歌声サロンも好評で、開催が100回を超えた。

 広瀬さんは2022年まで36年間、民生委員を務め、現在はボランティア城南の会長として地域のために尽力する。コミュニティーサロンを始めたのは13年ごろ。校区のスーパーや喫茶店が次第になくなり、地域の人が顔を合わせる機会が少なくなったことが気がかりだった。

 1回100円(コーヒー・菓子代)で世代を問わず誰でも利用できる。時間内は自由に出入りでき、多い日は10人前後が訪れるという。地域の自治会や団体の会合などの利用にはオープン日以外もできる限り対応する。

 今月8日は100回記念の歌声サロンを開催。住民ら30人以上が集った。日頃は指導役の地元在住の女性を中心にピアノとギターの伴奏で歌っているが、この日は特別に南大分地区の有志3人で活動する音楽グループ「The 3Gs」が来訪。ハーモニカ、パーカッション、ギターで懐メロや唱歌など13曲を演奏した。

 参加者は用意されたプログラムの歌詞を見ながら一緒に口ずさみ、イントロクイズで和やかにひとときを過ごした。

 毎回参加しているという近くの1人暮らしの女性(89)は「みんなと一緒に歌うのが楽しく、気持ちも若返る」。近隣校区の賀来新川から訪れた男性(83)は「日頃のサロンにも週1回は来ている。ここに来れば必ず誰かいて、知らない人同士でも気楽に話ができる」と喜ぶ。

 これまでを振り返り、「声をかければ手伝ってくれる仲間、利用してくれる人たちに私の方が支えられている」と感謝する広瀬さん。「皆さんが『居心地がいい』『楽しかった』と言ってくれることが張り合い。地域に必要とされ、自分の体が動くうちは頑張ります」と笑みをこぼした。

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