高齢化が進む岩手県内で、訪問看護師が在宅医療の重要な戦力として奮闘している。住み慣れた自宅で患者が過ごせるようサポートし、家族からも頼りにされる存在だ。拠点となる「訪問看護ステーション」の数はここ10年で1.6倍に増えたが、高まるニーズに対して人手不足や地域偏在が課題。情報通信技術(ICT)の活用で業務の効率化を試みながら、それぞれの事業者は懸命に県民の健康を守っている。
二戸市石切所の民家一室。ベッドに座り、足を上げたり、腕を伸ばしたりする高畑多恵子さん(98)の隣で「お見事です」と二戸訪問看護ステーション所長の菊池英理子さん(64)が励ました。
全国訪問看護事業協会によると、県内で2023年4月1日現在稼働する訪問看護ステーションは125カ所と、13年同期に比べて48カ所増えた。高齢化が進み、需要が高まる在宅医療を支えるが、小規模が多く地域によって偏在もある。
二戸広域の場合、3事業者のみ。二戸訪問看護ステーションの1カ月の利用者は85人前後。これに対し、看護師は常勤換算で5.3人と、ぎりぎりの態勢で対応している。