砂浜消失、護岸むき出し 鵜の浜海水浴場 冬季波浪で浸食 夏の営業 懸念広がる 大潟区

冬季波浪により砂浜が削り取られ、緩傾斜護岸や人魚像の台座が露出している鵜の浜海水浴場(3月27日撮影)

大潟区鵜の浜海水浴場の砂浜が冬季波浪により大きくえぐり取られ、下の護岸がむき出しになっている。海岸浸食により変わり果てた光景に、住民らは胸を痛め、上越市議会3月定例会でも取り上げられた。

砂が削り取られた場所は、同海水浴場のシンボルで、現在一時的に撤去している人魚像があった辺り。同海水浴場を所管する柿崎区総合事務所や市議会での市の答弁によると、1月下旬以降、北からの荒波が雁子浜海岸に入り込み、50メートル以上にわたって同海水浴場の砂浜が消失し、緩傾斜護岸や人魚像の台座が露出している。

同海水浴場は夏の大切な観光資源だけに、地元町内会や鵜の浜温泉観光組合など住民や関係者に懸念や危惧が広がっている。行政と関係者で対応の協議を行っている。海水浴場の場所を、砂浜が残っている西側の直江津寄りに移すことも視野に、併せて露出して危ない状態の護岸や台座周りに近づかないよう安全対策を進める。

同組合の丸山政仁組合長(49)は「これだけ砂浜が削られるのは初めてで、ショック。鵜の浜海水浴場はファミリー層が多く、むき出しになったままの護岸では危なく、以降来なくなる恐れがある。安全のためにも、せめて護岸が見えないように砂を埋めてほしい」と切実な思いを話す。

海岸を管理する県は、鵜の浜温泉街や住宅などの背後地を守る点で、護岸や離岸堤設置などのハード対策を順次進めてきている。現在、雁子浜海岸沖に離岸堤2基を新設する計画で、令和5年度から着手。おおむね10年かかる見通しで、一定の効果が期待される。

中川幹太市長は市議会一般質問の答弁で、「鵜の浜海水浴場は鵜の浜温泉を含め当市の大切な観光資源。海岸浸食対策の速やかな進捗(しんちょく)を国や県に働きかける。必要な対応を検討し、県と連携しながら砂浜の保全に向けた取り組みを進める」と話した。

砂浜が広がる夏の鵜の浜海水浴場(昨年7月26日撮影)

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