「がんサバイバー」が明かす、厳しい闘病生活での気づき「つらいなかにも必ず変化はある」

がんサバイバーの佐々木香織さん(写真左)、フリーキャスターの丸岡いずみさん(同右)

“7本指のピアニスト”として知られる西川悟平さんとフリーキャスターの丸岡いずみさんが月替わりでパーソナリティーを務めるラジオ番組『Open the door』(ラジオ関西、毎月第3日曜午後5時〜)。丸岡さんの担当回となった3月17日の放送では、「がんサバイバー」(がん体験者)の佐々木香織さんがゲスト出演し、闘病生活や現在の活動について語った。

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1972年、北海道出身の佐々木さん。大学卒業後、北海道文化放送の報道部記者として2000年まで勤務したのち、夫の転勤に伴いブラジルへ移住。2005〜2012年までの7年間をブラジルで過ごす。帰国後の2018年に直腸がんの罹患が発覚したため直腸を切除したものの、3度の肺への転移、2度の局所再発を経験。現在は、がんに向き合う人々をつなぐSNSコミュニティ「ピアリング・ブルー」の代表として活動している。

丸岡さんとは、北海道文化放送時代の同期仲間だという佐々木さん。退職後も交流は続いているそうで、今回の共演に「これも何かの縁ということで」と声を弾ませた。

佐々木さんが立ち上げた「ピアリング・ブルー」は、大腸がん・消化器がんに罹患した女性が日記などを通して悩みを打ち明けるSNSコミュニティ。コミュニティ名の「ブルー」は大腸がんのネイビーブルー、胃がんの淡いブルーという、消化器系がんのシンボルカラーからとっているのだそう。さらに、「同じ境遇にある患者同士が経験を共有する仲間」を指す「ピア」に、「つながり=リング」を加え、「ピアリング・ブルー」と名付けたという。

肺への転移や排便障害など、これまでにさまざまなつらい経験をしてきた佐々木さん。当初、直腸がんへの罹患が発覚したときは「いまは2人に1人がかかる時代だし」「切れば治る」という思いから、すんなりと受け止められた。

しかし、直腸を切除したことによって引き起こされる排便障害によって「大げさじゃなく1日に30回トイレに行くこともあった」そうで、「(大人としての)尊厳を削がれるような思いもあり、本当にしんどかった」と振り返った。

厳しい闘病生活のなか、佐々木さんが気づいたのは「永遠はない」ということ。「どん底のつらいことはあるけど、ずっと(続くわけ)じゃない。(自身の経験を通して)つらいなかにも必ず変化はある、ということを体得した」と語り、コミュニティメンバーにも「ずっとじゃないから大丈夫だよ」と励ましの言葉をかけているという。

現在、困難に阻まれ、生きる希望を失っているという人に向けて、佐々木さんはこのようにメッセージを送った。

「私たち『ピアリング・ブルー』でも大切にしている、『ひとりじゃないよ』という言葉を届けたい。がんへの罹患を告知されたときは『仲間はどこにもいない』と感じてしまいますが、そんなことはないんです。コミュニティに入っていただければ、同じ境遇の人がいることに気づける。がんに限らず、同じような困難を抱えている仲間が絶対にいるはず。そんな人を見つけて、打ち明けあって支え合うということが素敵なんじゃないかな」(佐々木さん)

※ラジオ関西『Open the door』2024年3月17日放送回より

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