赤潮発生をリアルタイム監視 装置増設で早期発見 西九州させぼ広域都市圏

 西九州させぼ広域都市圏は赤潮発生をリアルタイムで監視する体制を強化する。ハマチやマダイなどを養殖する長崎県の佐世保、平戸両市にまたがる海域に装置を増やし、より広いエリアをカバーする。漁業者がいつでもどこでも確認できる体制を整え、赤潮の早期発見、早期対応で漁業被害の低減につなげる。
 佐世保市水産課によると、装置を設置するのは養殖が盛んな海域。赤潮が度々発生し、2021年の被害額は数億円に上った。被害を最小限に抑えるには早期の発見と対応が必要だが、漁業者が海の色や魚の様子から異変に気付いた後、検査で確定するまでに早くても1日程度のタイムラグがあった。赤潮による養殖魚のダメージを抑えるため、体力を消耗する餌やりを中止するといった初動対応が遅れる原因にもなっていた。
 市は22年度に1基設置して監視を始め、赤潮発生の気配を察知できるようになった。一時的に餌やりを控えるなどし、大きな被害を防げたという。
 ただ1基では監視エリアが限定的であるため、24年度は西九州させぼ広域都市圏連携事業として設置数を増やす。4基分を予算化しており、養殖いかだの密集度合いなどを考慮して設置する。
 装置は赤潮が発生しやすい5~11月に設置し、水温や海水中に溶け込んでいる酸素の量、プランクトンの発生状況を示すクロロフィル量など4項目を30分おきに測定。漁業者は専用サイトから24時間体制でリアルタイムに数値を確認し、赤潮発生の兆候を察知していく。
 市水産課は「確実に被害を減らすことができる。安定した養殖魚の生産で漁業者の所得向上につなげたい」としている。

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