「場の空気が読める」「繊細」→このタイプのZ世代社員を伸ばす「ほめ方と叱り方」の最適解【Z世代社長の助言】

「Z世代」といっても十人十色で、さまざまなタイプがいます。自身もZ世代である、株式会社OMOCHI代表取締役である白附みくる氏は、なかでも、場の空気を読むのが得意で、繊細な性質を持つZ世代を「叱咤激励タイプ」と称し、「このようなタイプは、気にかけてもらうことが何よりも大切」と言います。白附氏の著書『Z世代の取扱説明書 Z世代社長が語るリアルな本音』(サンクチュアリ出版)より、詳しく見ていきましょう。

叱咤激励タイプは「気にかけてほしい」と思っている繊細なタイプ

「叱咤激励タイプ」の特徴は、次の通りです。

・ほめられても「いやいや、全然そんなことありません」と答える

・繊細で、空気が読める人が多い

・場に応じて態度・対応を変えることができる・周囲に気を配ることができる

・怒ってもらえることに少し愛情を感じる

・相手からの言葉で、「自分のことを想ってくれている」と感じたい

・「ほめられたい願望」よりも、「かまってもらいたい願望」が強い

・人から言われたことを「このように解釈して話しているのだろうな……」と頭のなかで細やかに考え、相手の伝えたいことを汲みとる力がある

相手を想っていることが伝わる声かけは、とくに「叱咤激励タイプ」にはしっかりと伝えてあげる必要があります。

叱咤激励タイプで何よりも大切なのは、「気にかけてあげること」です。ひとりで抱え込みすぎていないか、重荷を感じて困っていることはないかを確認しましょう。そうでないと、余裕がなくなったときに、爆発してしまうからです。

ほめるときは“人前ではなく個別”で

どのタイプにも承認欲求はあるため、ほめることは必要です。ただ、ほめ方、ほめる場所は、それぞれのタイプに合わせて変えたほうがいいでしょう。

「叱咤激励タイプ」は、みんなの前でほめてもらいたい「ほめ伸びタイプ」とは真逆なので、間違えないようにしたいところです。

× 人前でほめる

叱咤激励タイプは、ほめられることが恥ずかしいタイプなので、人前ではなく、個別にほめましょう。

〇 「やっていることを、いつも見ているよ」

〇 「いつもがんばっているね」

ほめるときは、あなたがしっかりと見ていることを伝えます。決して大げさではなく落ち着いて、サラッと伝えてあげたほうが、このタイプは喜ぶでしょう。「見てもらえていた」と感じると、じわじわと喜びがわきあがり「ありがとうございます!」とほめられたことを受け入れます。

叱るときは「改善点をはっきりと伝える」

× 叱らない・無視

叱咤激励タイプにとってもっともつらいのは「無視」です。このタイプにとっては、「叱ってくれないこと」が、そのまま不安につながります。

〇 「ここは十分にできているね。だから、ここはこのようにしてね。なぜなら、△△という理由だから」

叱咤激励タイプには、改善してほしい点をはっきりと伝えたほうが伝わりやすく、本人も納得できます。

本人は考えて動いているつもりなので、不十分な点を注意するときも、考えて動いていることについては認めてあげてください。認められていると感じられないまま進むと、自分ひとりで抱えて、苦しくなってしまうタイプだからです。

× 「いいからやりなさい!」 〇 「たとえば、こういうときはこうだよね?」

叱咤激励タイプは、たとえ話が好きな人たちでもあります。「たとえば、こういうときはこうだよね?」と伝えてあげることで、腑に落ちるのです。なぜダメなのか、理由が必要なため、例題を用いて説明することで、より納得感を得られます。「いいからやりなさい!」と言われて取り組むことが、一番苦手なタイプと言えます。

優しい声かけより「煽り」が有効な場合も

× 「大丈夫だよ、やってみなよ!」

叱咤激励タイプには、優しく声かけをするよりも、「やらなくていいのなら、別にいいけど」とお尻を叩いたほうが伸びます。

〇 「そんなのでいいの? もっとできるんじゃないの?」

〇 「◯◯さんならもっといけると思うけれど、そこでいいの?」

叱咤激励タイプが伸び悩んでいるときには、「もっといけると思うけどね」と相手を認めたうえで、煽ってみましょう。

「もっとできるんじゃないの?」と言ってあげるのが有効です。

このタイプは、できることとできないことの差が大きい傾向があります。悩んでいるときには、自分にはないもの、もしくは自分にはできないことについて考えていることが多いのです。

どこで何に注力していいかがわからずに悩んでいるため、気づかせる声かけが必要です。そこまでしてやらなくてもいいということなら、そのことを伝えてあげましょう。

叱咤激励タイプの人はいろいろな才能を持っていたり、まわりのことを見てあげたりすることができるのですが、悩んでいるときは、「得意なこと」よりも「できていないこと」に意識が向いてしまっているのかもしれません。できなくてもいいところでつまづいているのなら、「そこは別にできなくてもいいよ」と明言してあげましょう。

そして、もっと取り組めばできることに悩んでいるときは、煽るような声かけをして、自分で走っていけるように背中を押してあげてください。悩んでいることをきちんと見極め、できないことはできなくてもいいということをきちんと伝えましょう。できないことでずっと悩み続け、負のループにはまってしまうことを防ぐためです。

白附 みくる

株式会社OMOCHI代表取締役

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