栃木県高体連、登山専門部が活動休止 指導教員減で継続困難 那須雪崩事故後に業務限定

栃木県教育委員会が入るビル

 栃木県高校体育連盟(高体連)登山専門部が活動を休止していることが22日までに、同連盟への取材で分かった。休止は今月からで、部員の減少や専門性を有する教員の不足などが要因。大田原高山岳部の生徒7人と教諭1人が死亡した2017年3月の那須雪崩事故後、登山専門部は21年に県高体連主催の登山大会を開催しないことにし、全国大会などへの出場校選考などに業務を限定。今後は県高体連事務局が役割を引き継ぎ、部活動に影響はないという。

 県高体連によると、登山部のある県内高校は23年度に5校となり、17年度の22校から大きく減少した。少子化や部活動の統合などの影響とみており、「雪崩事故が影響したかは不明」としている。併せて、登山の専門知識を持つ教員の不足も深刻化。専門部の運営を登山部顧問だけではできず、元顧問の教員がサポートするなどして組織を維持してきたという。

 23年度の登山専門部長、新井聡(あらいさとし)石橋高校長は「持続的な運営が難しいと判断した。部活動は各学校で引き続き実施される」と説明する。その上で「専門部としての活動は休止しても、那須雪崩事故の教訓を忘れずに関係者一人一人が安全対策に取り組む」と述べた。

 雪崩事故の起きた登山講習会は、県高体連が主催し、登山専門部が主管していた。事故を受け登山専門部は21年7月、安全に配慮した運営が困難になりつつあるとして、県高体連主催の大会や山に入る講習会を実施しないと発表。その後は上位大会への出場を希望する高校の選考や、顧問同士の情報共有の場づくりなどを担ってきた。

 登山専門部の業務を引き継ぐ県高体連の担当者は「二度と事故が起きないよう、使命感を持って当たる」と話した。県教委は休止について「部活動の安全性が損なわれることはないと考えている」との認識を示した。

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