春闘賃上げ6.21%で過去最高 連合福島発表 98組合妥結、月平均1万9621円

 今年の春闘で、連合福島に加盟する組合の定期昇給とベースアップ(ベア)を合わせた妥結額の平均は月額1万9621円となり、前年同期と比べ9988円増加した。引き上げ率は6.21%で記録が残る2007(平成19)年以降で最も高くなった。連合福島が24日、発表した。ただ、中小企業での引き上げ率は低く、企業規模によって格差が生じている。

 基本給を底上げするベアを要求した加盟164組合のうち、約6割に当たる98組合が妥結した。組合側が示した高い賃上げ要求に対し、人材確保などを目的に初任給を含めた労働条件の改善が必要と考える経営者側の認識が一致したことで過去最高の上昇につながったと連合福島はみている。

 従業員の規模別でみると、1000人以上の組合は2万2439円で6.66%の引き上げ率となった。従業員300人未満の中小企業の組合は1万365円で引き上げ率は4.10%。製造業や運輸業などで物価高騰による価格転嫁が進まず、賃上げに至っていない事例があるという。

 3月に福島県などが公表した価格転嫁の実態調査で、コスト上昇分を十分に価格に反映できていない県内企業は8割近くに上った。連合福島は、今回の賃上げは企業の自助努力の側面があるとし、「人材確保を見据えた先行投資の意味合いが強い」とみている。

 連合福島の沢田精一会長は福島市で開いた報告会で「企業の持続的成長、生産性向上には人への投資の拡充が不可欠との認識を労使双方が深め、交渉が行われたことは来年以降の持続的な賃上げにつながる」と述べた。

 残りの66組合は今後交渉が本格化し、全体の集約結果判明は6月末になる見通し。

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