処理水海洋放出一時停止 掘削作業中に電源ケーブル損傷か 東京電力福島第1原発

 24日午前10時45分ごろ、東京電力福島第1原発で電源供給系統の一部が停止し、処理水の海洋放出が約6時間半にわたり停止した。東電は構内での掘削作業中に電源ケーブルを損傷したことが原因とみている。協力企業の50代男性作業員が顔面などにやけどを負い医療機関に搬送されたが軽傷という。東電が同日、発表した。

 東電によると、電源ケーブルの損傷で処理水移送用のポンプだけでなく、廃炉作業の監視などを担う免震重要棟に電力を供給できなくなった。1~3号機の原子炉注水設備や使用済み燃料プールの冷却設備は運転を継続しており、影響は出ていない。放射線監視装置(モニタリングポスト)の値にも異常はなかった。免震重要棟の電源は非常用に切り替わった。

 福島県警双葉署によると、軽傷を負った男性は埋設された配線の取り出し工事中に使用していた機具が地中の電線に接触した。労災事故とみて原因を調べている。

 処理水放出は今年度初回として19日に始まり、約7800トンを海に流す計画。東電は7日に放出を完了する予定に「変更はない」としている。

 福島第1原発では、作業員が放射性物質を含む廃液を浴びたり、放射性物質を含む水を建屋外に漏らしたりするトラブルが相次いでいる。

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