人工衛星打ち上げに前進 東北大発ベンチャー企業、福島県南相馬市ロボテスでカプセル着水衝撃実験

回収カプセルをクレーンでつり上げ、水槽に着水させた屋内試験場

 2026(令和8)年に民間での人工衛星打ち上げを目指す東北大発のベンチャー「ElevationSpace(エレベーションスペース)」(仙台市)は24日、宇宙から実験の成果物などを回収する際に使うカプセルの着水衝撃試験を福島県南相馬市原町区の福島ロボットテストフィールド(ロボテス)で実施した。試験に臨んだ技術者は「120点の出来だ」とし、実用化に向けて一歩前進した。

 同社は昨年4月に南相馬市と実験場の提供などを盛り込んだ連携協定を締結した。同市を開発拠点の一つとし、宇宙空間で科学実験や機械の稼働試験が行えるような無人の小型人工衛星の開発を進めており、同社によると日本の民間企業では初めての試みだという。

 今回、成果物を地上に持ち帰るための回収カプセルの試験機(直径約50センチ、高さ約50センチ、重さ15キロの円錐台)を組み立て、ロボテスに持ち込んだ。

 実験は屋内試験場で行われ、関係者約20人が見守った。カプセルをクレーンで高さ5メートルまでつり上げて水槽に落下させ、どれだけの衝撃がかかるかを計測した。今後、詳細な数値を分析して設計に反映させる。

 同社CTO(技術総責任者)の藤田和央さん(57)は「これから本格的な実験を始めるので、最初の一歩がうまくいってホッとした」と頬を緩めた。9月ごろには福島県沖でヘリからカプセルを海に落下させ、パラシュートの展開や着水後の衛星利用測位システム(GPS)によるカプセル捜索などを行うという。

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