【阪神】梅野隆太郎の数字だけでは計り知れない存在感 先発に球数投げさせ〝ボディーブロー〟に

江夏の21球ならぬ梅野の28球か――。阪神・梅野隆太郎(32)の〝ボディーブロー〟が利きそうだ。

24日のDeNA戦(横浜)は9回に打者10人の猛攻を仕掛けて4点を挙げたが、試合を通じて地味にダメージを与えていたのが梅野だ。本業の捕手としては伊藤将、桐敷、ゲラの3投手を好リード。雨でグラウンドがグチャグチャになっていても、ワンバウンドを何度も体で止めた。〝ブロッキング番長〟の献身的なプレーは投手陣を勇気づけ、思い切って低めを突けた。

試合終了後は勝利に安心した様子で「(足場が)悪いのはお互いさまだけどね。(ぬかるみでのブロッキングは)本当にヤバかったですよ。めっちゃ難しいですよ。感覚が違うしね。練習できるプレーでもないし」と苦笑いを見せていた。

ただ、特筆すべきはDeNA投手陣に投げさせた球数だ。打撃結果は2打数無安打3四球だったが、5打席で投げさせた球数は計28球。役割によって一概に比較はできないとはいえ、この試合では先発野手がそろって5打席に立った中、2四球を選んだ近本とノイジー(24球)を上回り梅野が最多。さらに梅野は9度、ファウルも打って粘りをみせた。

DeNAバッテリーからすれば何とも〝面倒くさい〟存在だったはずだ。敵軍の捕手にそれだけ投球を観察された上に、3出塁を許してしまったとなればイライラが募らなかったはずはない。

敵の捕手に同じことをされたらどんな心境になるのか…。そんな問いに梅野は「そりゃ嫌ですよね。ボール球を振ってくれるのか、見逃されるのかは違いますよ」とニヤリと笑った。1球の重みを知るベテラン捕手ならではの、選球は確実にDeNAにダメージを残した。

「本当に粘り勝ちだと思う。連勝が続いているのも僅差をモノにしているから。簡単に勝てる試合は数えるくらい。みんなでつなぎの野球ができたと思う。こういう僅差をモノにするのはチームとしても大きい」

25日時点で梅野の打率は1割1分4厘。決して好成績とは言えないが、数字だけでは計り知れない存在が相手チームの脅威になることは間違いない。

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