能登半島地震復興応援チャリティコンサート(富山新聞社特別協力)は2日、高岡市伏木古国府の国宝勝興寺で開かれた。被災して輪島市から南砺市へ避難しているメゾソプラノ歌手の仲谷響子さん(40)が、地震の被害を免れた「奇跡のピアノ」の音色とともに伸びやかな歌声を本堂に響かせ、来場した被災者らを和ませた。
コンサートは被災した伏木地区の住民らを元気づけようと、北陸三県で開催されているガルガンチュア音楽祭(北國新聞社特別協力)の実行委員会と、高岡市民文化振興事業団が協力して企画した。
●コーラーさん演奏
仲谷さんは、米国出身のジャズピアニスト、ジェイコブ・コーラーさんの演奏で、歌劇カルメンの「ハバネラ」やモーツァルトの「フィガロの結婚」などを歌い上げ、来場者から盛んな拍手を浴びた。コーラーさんはフリー演奏のパフォーマンスを披露した。
使用されたピアノは、仲谷さんの母美千代さん(70)が所有する1899(明治32)年製造の名器「スタインウェイ」。輪島市の自宅は倒壊寸前となったが、ピアノはほとんど損傷がなく、無事に運び出された。コンサートでは、美千代さんもピアノを演奏した。
仲谷さんは「震災でつらいことも多いが、音楽で心を和らげてほしいとの思いで臨んだ」と話した。美千代さんは「寺の歴史ともマッチしてピアノも喜んでいるようだ」と笑顔を見せた。