中国海南省、「低空経済」の発展で新分野を開拓

中国海南省、「低空経済」の発展で新分野を開拓

空中遊覧の準備をする中国通用航空のヘリコプター。(3月21日撮影、海口=新華社記者/周慧敏)

 【新華社海口5月7日】中国海南省では現在、低空域の飛行活動を活用する「低空経済」の発展を加速させている。ドローンがビル街を飛んでデリバリーを行い、空中から美しい景色を楽しめる観光ヘリコプターが運航され、救助ヘリコプターによる緊急救助活動が行われる。低空経済は同省の戦略的新興産業として、「新たな質の生産力」(科学技術イノベーションが主導し、質の高い発展を促す生産力)を推進する新分野となっている。

 同省海口甲子空港で4月24日、ドローン1機が離陸。3時間かけて省内文昌市の稚エビを広東省の珠海蓮洲空港まで輸送した。初となる海南省から広東省珠海市へのドローンによる海を越えて貨物輸送を成功させた。

中国海南省、「低空経済」の発展で新分野を開拓

海南省で南航通用航空の三亜拠点に停泊したヘリコプター。(3月21日撮影、海口=新華社記者/周慧敏)

 文昌市で稚エビの生産を手がける海南禄泰海洋生物科技の雲永超(うん・えいちょう)総経理は「ドローン輸送により、輸送時間を大幅に短縮したとともに、水産種苗の生存率も確保され、コスト削減と効率向上の役割を果たしている」と語った。

 雲氏は、従来型の陸上輸送や海上フェリーで12~13時間かけて水産物を広東省まで運んでいたが、輸送時間が長いため、種苗の損失が大きかったとし、「ドローンによる海を越えた飛行は新たなモデルで、輸送に新たな選択肢を提供した」と述べた。

中国海南省、「低空経済」の発展で新分野を開拓

24日、海口甲子空港で貨物を積み込むドローン。(海口=新華社記者/周慧敏)

 海南省は中国唯一の熱帯にある島の省であり、一般航空が年間300日以上飛行可能で、飛行可能日数と空中遊覧実施可能時間は中国のトップにあり、低空経済の発展にとって地理的優位性を備えている。

 同省はここ数年、低空経済の発展と関連する布石を続けている。2010年に国内第1陣の低空空域管理改革試行地区となり、23年に「海南省におけるドローンの飛行可能空域図」を発表するなど、早くから低空空域の開放に向け持続的な試み進めてきた。

中国海南省、「低空経済」の発展で新分野を開拓

海南省三亜市で、遊覧飛行のヘリコプターから撮影した蜈支洲(ごししゅう)島。(3月21日撮影、海口=新華社記者/周慧敏)

 中国南方航空傘下、南航通用航空三亜拠点の李厳(り・げん)総経理は、自由貿易港としての海南省は多くの優遇政策を持つと指摘。ドローンやeVTOL(電動垂直離着陸機)などの重要技術がすでに急成長期に入っており、利便性の高い移動や観光・レジャーに対する人々のニーズも高まり続け、市場規模は拡大し続けていると述べ、同省の低空経済発展の見通しは明るいとの認識を示した。

 現在、海南省で登記された一般航空事業を経営する企業が160社余り、常駐する他地域の一般航空企業が50社近くあり、低空経済の発展に活力をもたらしている。(記者/周慧敏、程瀟)

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