銅器の技生きる住宅完成 高岡の空き家改修 インテリアに着色銅

キッチンなどに着色技術を取り入れた住宅=高岡市川原本町

 重伝建(重要伝統的建造物群保存地区)の高岡市金屋町と山町筋の間に位置する川原本町の空き家をリノベーションし、高岡銅器の技を取り入れた住宅が完成した。鋳物を化学反応させ、さまざまな色を表現する技術で、空き家活用などの際、高岡ならではの付加価値として魅力を広める。

 高岡市伝統工芸産業担い手優秀技術者に選ばれている着色職人の野阪和史さん(36)=高岡市=と、富山、石川の建築技術者でつくるプロジェクトチーム「GO」の江嵜倫史さん(37)=射水市=が、築約65年の空き家をリノベーションした。

 キッチンの壁やドアハンドルを、野阪さんの着色の技で銀色に仕上げた。真ちゅうを薬品で酸化させ、「緑青(ろくしょう)」と言われる緑色のさびを発生させる。その上に銀の漆を焼き付け、さびに立体感が出るようにした。市内の鋳物工房と協力して製造した銀色のランプシェードも取り入れた。

 野阪さんが空き家のリノベーションを江嵜さんに依頼したところ、江嵜さんが建材に着色銅を取り入れることを野阪さんに提案した。2人は今後も依頼があればリノベーションを手掛ける。野阪さんは「建材やインテリアに着色したのは初めての試み。高岡の工芸を生活に取り入れ、経年変化の味わいを感じてほしい」と話した。

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