津波、不漁で事業停止 業者ら出資、能登町のイカ加工協組

  ●震災で倒産、県内3社目

 東京商工リサーチ金沢支店によると、魚介類加工の石川県いか釣(つり)生産直販協同組合(能登町宇出津、前田幸子代表理事)は7日までに事業を停止し、事業清算の準備に入った。能登半島地震の影響を受けた倒産は県内で3社目。イカの記録的不漁も原因になったとみられる。2023年3月期末時点の負債総額は9016万円だった。

 組合は1982(昭和57)年創業で、地元関係者らによると、その後、地元の漁業者らが出資して法人改組した。冷凍スルメイカ「船凍(せんとう)イカ」を干物や塩辛などに加工し、ピーク時の2002年3月期には1億9千万円の売上高を計上した。

 しかし、イカの漁獲量は外国船籍による違法操業などが原因で年々減少。仕入れ価格が高騰し、18年3月期の売上高は1億円を割り込んだ。宇出津港に面した事務所と加工場が津波と断水の影響で休業を余儀なくされ、事業継続の見通しが立たなくなったという。

 県漁協小木支所によると、小木港で昨年度に水揚げされた冷凍スルメイカは過去最少の802トンにとどまり、取引価格は前年比1.5倍で推移していた。昨年度末には、先行きが見通せないとして中型イカ釣り船1隻が廃業。今年度操業するのは9隻まで減った。

 同支所の担当者は「地元産のイカを食べてもらいたいと頑張っていた。残念としか言いようがない」と話した。

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