財形貯蓄制度とは? メリットとデメリット
「財形貯蓄制度(ざいけいちょちくせいど)」という制度があることは知っているかもしれません。自分が利用できるのかわからないし、どれくらいお得なの?と思っている人も多いですね。
まず、「財形」とは勤労者財産形成貯蓄制度のこと。働く人の勤務先が金融機関と提携して、給料やボーナスから天引きでお金を貯める制度です。会社員や公務員、勤務先が認めれば契約社員、パートでも利用できます。
残念ながら、会社役員や自営業者は対象外。会社員でも勤め先が制度を導入していなければ利用できません。では、どうしてみんな「財形貯蓄」を使ってお金を貯めるのでしょうか?
財形貯蓄制度には財形住宅・財形年金・一般財形の3種類がある
「財形」は、働いている人が安心して暮らせるように、次の3つのお金を貯めることを目的に作られました。
■住宅(マイホーム購入)
■年金(老後資金)
■一般(その他、教育費など)
それぞれ、「財形住宅貯蓄」「財形年金貯蓄」「一般財形貯蓄」という名前で、財形は3種類あるわけです。では、いわゆる銀行などでする定期積立とはどう違うのでしょう?
財形貯蓄制度は、銀行預金と比べて非課税メリットがある!
お金を貯めるなら、銀行の預貯金でもいいはず。でも、財形という制度があるのは、働いている人にメリットがあるからです。
550万円まで非課税
ふつうの預貯金だと利息の20%が課税されて、引かれてしまいます。ところが、財形住宅と財形年金は、合算して元利合計550万円までが非課税! 利息がそのまま手元に残ります。
保険でも非課税
財形は預貯金だけでなく、保険でもお金を貯めることができます。この「保険型」は、財形住宅が払込保険料累計550万円までが非課税。財形年金は、払込保険料385万円までが非課税です。
一般財形は?
一般財形は、貯めたお金の使い道に制限がないので、旅行やマイカー購入、結婚式などにも使えます。そのかわり、ふつうの預貯金と同じように利息は課税され、非課税ではありません。
住宅購入したい人にも財形貯蓄制度はメリットがあります
財形のもう1つのメリットは、財形融資制度があることです。一般、住宅、年金いずれかの財形貯蓄をしていれば、融資制度を利用することができます。
財形住宅融資
財形貯蓄を1年以上していて残高が50万円以上ある人が、残高の10倍(最高4000万円)まで住宅取得に必要なお金の80%まで借りることができます。5年毎に金利が見直される固定型になっています。
財形貯蓄制度で100万円貯める!
100万円の道も、まず申し込まなければ始まりません。お勤め先の担当部署に申し込みます。ただ、申し込み期間が勤務先によって設定されているので、お勤め先に確認しましょう。
どの財形貯蓄制度で貯める?
さて、財形貯蓄制度を始めるとしたら一般、住宅、年金のどれを選んだらいいでしょう? 「住宅を買う予定はまだ無いし、年金なんてまだまだ先の話。じゃあ、一般?」と一般を選ぶ人が多いのですが、もしいつかは住宅を買いたいなら、財形住宅を選ぶのも検討してみては?
なぜなら、住宅を買う目的以外でお金を引き出すこともできるのです。その場合は全部解約となりますが、一般財形と同じように利息に20%の税金がかかるだけ。そして、マイホーム購入までお金を貯めれば、550万円までは非課税です。
毎月2万円で100万円を目指す!
さあ、毎月何かに消えてしまっているお金を将来のために貯めましょう。毎月2万円、ボーナス時に5万円プラスするだけで、なんと3年後には102万円です!
2万円×12カ月×3年=72万円
5万円×2回×3年=30万円
合計102万円!
1年で100万円貯める!
夫婦で頑張るなら、毎月それぞれ3万円ずつボーナス時は7万円プラスすれば、1年後には100万円です。もちろん、1人で貯めるならその倍。毎月6万円、ボーナス時に+14万円で100万円です。
財形貯蓄を利用しているとき、退職・転職したら?引き出しや変更はできる?
退職、転職したら?
退職しても、金融機関に貯めたお金は残ります。解約をすればお金は払い戻されます。また、転職先に財形制度があれば、そのまま続けることや他の金融機関に預け先を変えて続けることができます。
一般から、住宅財形に変えられる?
変えられません。
いつでもお金は引きだせるの?
一般財形は、勤務先によって払い出し受付期間や、払い出し日が決められています。1年経てば、いつでも引き出しができます。
財形住宅と財形年金は、その目的以外で引き出すと、全部解約することになり5年間さかのぼり、利息に20%の税金がかかります(ただし、平成29年4月より非課税で払い出すことができる特例範囲が広がりました)。
つまり、財形は始めやすくお金が出しにくいので貯まるのですね。
今、本当に財形貯蓄でお金を貯めるのがいいの? 他の貯め方は?
財形住宅融資は銀行の優遇金利と、金利差があまりないケースもありますし、財形住宅融資を取り扱う、住宅金融支援機構の35年固定ローン、フラット35も低金利が続いています。
また今は、定期預金の預け入れも簡単になりました。窓口に並ばなくても、ネットバンキングを活用することで、パソコンやスマホを使って手軽にできます。
消費税増税や物価上昇で物の値段があがっても金利が上がらない今、全てのお金を財形で貯めるというより、自分のライフプランに合わせ、何年後に必要になるお金を今から貯めるのに最もよい方法は何か?という考え方をした方がいいですね。
お金の目的に応じて、金融商品を使いわけるということです。最初の100万円を貯めるのには財形はぴったりです。一方、老後のお金などは、財形貯蓄だけでなく個人型確定拠出年金制度のiDeCoなどで運用をしてじっくりお金を増やすことも考えましょう。
※本文中の利息の税金に特別復興所得税は考慮せず