「不安」でお金が使えない人の家計管理

お金を使うと不安になってしまう人は何が原因?最近は、不安でお金が使えず貯めるだけの人も増えています。安心してお金が使える家計管理を学びましょう。

お金を使ってしまう罪悪感と後悔にさいなまれる人

お金の使い方はその人の経験と毎日の生活習慣で決まります。お金を使いすぎて、貯まらないのも習慣の結果ですが、貯めるだけの人も「お金が使えない」という習慣にはまっています。浪費家の反対語の倹約家という言葉が当てはまりそうですが、実はよく話を聞いてみるとそう単純ではありません。

倹約家は、ちょっと違う見方をすると「ケチ」をエンジョイできるタイプ。一方、お金が使えない人は、「ケチ」をエンジョイできません。

倹約家の特徴

■安い物を買うとワクワクする

■穴のあいた靴下を縫うのは当たり前

■食材をとことん使いきるのが好き

■もらう、ひろう、タダが好き

お金が使えない人の特徴

■スーパーで値引きシールの貼っていない物を買うと罪悪感が

■プロパー(正規価格)で買うと後悔する

■何かをするためではなく、お金を貯めること自体が目標

■お金が減ることが怖い

あなたは、どちらに多く当てはまりましたか?

倹約家が前向きに節約をこころがけているのに対し、お金が使えない人は「○○だからお金が使えない」「お金は使いたいけれど、使った後に後悔するのがイヤ」と、後ろ向きな理由でお金を使いません。

お金を使わないことのリスクを知っていますか?

お金が使えない=お金が貯まるので、悪い話ではなさそうですが、隠れた弊害があります。

■ゆとりがない

貯金ができるくらいの収入はあるのに、生活や心にゆとりがありません。切りつめることがゴールになってしまうと、何のために働いているかわからなくなります。

■自己投資ができない

お金があれば安心かと言うと、そうではありません。貯金も大切ですが、いつ仕事がなくなっても、すぐに次の仕事に移れるようにしておく方も大切です。キャリアアップのための勉強をしたり、見聞を広めるために旅行にいったり、特に若いうちは、自己投資をすることがとても大切です。

■なりたい自分になれない

お金持ちになりたい人が、ある日突然、1億円と田園調布の家をもらったとします(仮にですよ)。急に広いお屋敷を手に入れても、どんな調度品をどこで買えばいいのか、お付き合いはどうしたらいいのか、わかりません。お金があっても、お金持ちにはなれないのです。お金を使って学ぶことで、少しずつなりたい自分に近づけるのです。

お金を貯める3つの時期

まずは今の貯蓄残高や自分の状況から、今自分は必死で貯める時期なのか、それとも別の時期なのか、把握します。

ステージ1 欲しい物を我慢して必死で貯める時期

住宅ローン以外の借金がある。貯金がゼロまたは、生活費の半年分に満たない人。今、何かあったら新たな借金をしなくてはいけないので、最初はお給料の半年分を目標にしっかり貯めましょう。

ステージ2 次の目標に向かって貯める時期

いざというときのお金が確保できたら、次はマイホーム購入や子どもの教育費などを目標に貯めます。20年後、子どもの大学入学までに300万円貯めるなら、毎月1万2500円ずつ貯める!というように割り算で考えるといいですね。

ステージ3 余剰金を活用・増やす時期

いざというときのお金も貯めて、次の目標に向かってお金を貯め始め、さらに生活費の中から貯金に回せるときは、住宅ローンの繰り上げ返済や、旅行、社会人大学、おけいこごと、趣味、など人生を豊かに過ごすために活用します。

同時にこの時期は、老後に安心して暮らすためのお金を貯める時期でもあります。長期間にわたってお金を貯めるので、お金を増やす=運用することも少しずつ始めましょう。

不安はどこから来るの?

不安を感じている人は、大きく2つのタイプに分けられます。

■「もし仕事がなくなったら」「もし何か起こったら」と考える人■「住宅購入の頭金」「子どもが生まれたときのための教育費」「親の介護のお金」「自分の老後」と、将来のお金を一気に貯めようとしている人。

前者は、ステージ1を過ぎれば、いつ来るかわからない「もし」に対してお金を貯めるだけでなく、「もし」が来たときに対処できる強い心や人脈、普段からキャリアアップを意識しておいた方がいいでしょう。

後者は、お金を貯める優先順位をつけましょう。まずは、現状で絶対に必要なことが優先されます。子どもは生まれるかどうかわかりませんし、親も介護状態になると決まった訳ではありません。優先順位がつけられない人や自分で整理できない人は、ファイナンシャル・プランナーなどの専門家のアドバイスを受け、キャッシュフロー表を作ってもらうと、お金の増え方が表でわかるので安心できます。

家計管理法は?

■貯めるお金と、使うお金の口座を分ける

同じ口座で管理していると、どこまで使っていいお金なのかわからないので不安です。しっかりお金が貯まっていれば、後は使っていいお金なのです。

・ステージ1の生活費の半年分の一部、10万円~30万円位を普段使っている口座の定期預金にします。こうすることで、口座に一時的にお金がないときも定期預金から自動貸し越ししてくれますので、クレジットの引き落としができなかった~なんてことはありません。残りは、貯める専用口座に移します。

・ステージ2の目標に向かって貯めるお金は、積立定期預金を利用しましょう。目標がたくさんある人や、既に普通預金口座に100万円以上のお金がある人は、使う時期を考えながら有利な預け先を探します。ボーナス時期の金利上乗せキャンペーンも、預入100万円からという銀行が多いので、その銀行の口座を貯める専用口座にしてもいいですね。

・ステージ2で、特に貯める目標がない人は、手取りの10~25%を積み立てていきましょう。自宅や家賃が安い地域、ランチ代がかからない人はもっと貯められますが、40%、50%を越えると、生活にうるおいがなくなり、自分のための投資もできなくなりますので、要注意です。

■個人事業主は引き落とし専用口座も

税金や社会保険料が自動的に引かれない自営業者は、自分で管理します。引き落とし専用口座を作り、必要なお金を把握し、お金が入ったら、口座に入れます。残りのお金から貯金をすれば、あとは自由になるお金です。

お金を使うのが怖い人が、お金を使う練習

手取り-貯金=生活費(自由になるお金)です。生活費をどんな風に使っても、いいのです。食費が多かったり、レジャー費が多くても、他の支出が抑えられていて、貯金を使わなければ、家計管理は大成功です。好きな物を安心して買えるように、安心して使えるお金を把握しましょう。

安心して使えるお金がわかったら、次はいよいよお金を使います。本当は生活の必要経費なのに我慢していたもの、買えなかった物を買ってみます。最初は小さな消耗品や気になる食材からトライ。毎日使う靴下、下着などを買うのもいいですね。

いかがでしたか? お金を使う練習だからといって、いきなり、服を初めての店で買ったり、豪華なランチをしたり、大きな花束を買ったりするのは、ダイエットのリバウンドのように、逆効果です。無理せずお金を使う練習をして、なりたい自分を探して行きましょう。

(文:山口 京子(マネーガイド))

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