サイズ、装備、性能すべてがワンクラス上のバスボート!"バスキャット・パンテラクラシック" 試乗レポート

バスフィッシングの本場アメリカのバスボート老舗「バスキャット」社。リック・ピアース社長自らがデザインした最新作「パンテラクラシック」は、走行性能・釣りのしやすさともに申し分のないモデルと評価が高い。その実力を試乗レポートすべく、ルアマガ総合プロデューサー・マイケル野村が琵琶湖へ向かった。

バス釣り愛にあふれるド中南部のファミリービジネス

アメリカのド中南部・アーカンソー州にあるマウンテンホームという小さな街で、40年以上前からボート作りを続けているバスキャット社。流れ作業ではなく、1艇ずつ職人が手掛けていくという古くからのスタイルを崩さないメーカーです。今回試乗させてもらった「パンテラクラシック」もこの工場で生まれました。

空にそびえる21フィート5インチの「ジャガー」。バスキャット社は2年ほど前にフロリダの巨大マリン企業に買収されたけど、アットホームな雰囲気と職人気質は変わらない。

社長のリック・ピアース(Rick Pirece)は大のバス釣り&バスボート好きで、パンテラクラシックをはじめとする現行モデルはすべて彼のデザイン。船体はもちろん、ストレージやライブウェルの設計まで全部彼がやってる。働き者です。

「いろんなボートメーカーの社長と会ったけど、リックほどバス釣りが好きな人はいないね」と、アメリカで活躍するバスプロ・桐山孝太郎さん。

装備や使い勝手も19フィートクラスとは思えないハイクオリティー

そんなリックが手掛けた最新作が「パンテラクラシック」。琵琶湖沿いにある「ビーフリーク」さんのご好意で、試乗させてもらうことに。

全長19フィート6インチ。エンジンはマーキュリーオプティマックスプロXSの200馬力。トーナメントで各地を回る人にも向いてる大きさかと。

ブルーラメが鮮やかなパンテラクラシック。琵琶湖沿いのビーフリークさんに展示されてます。

フロントデッキで2人が釣りをすることを考慮して、デッキの幅はかなりワイド。左にもロッドは入るけど、真ん中がロッドストレージというユニークな設定。右側は2分割されており、ダンパーも効いて使い勝手は最高。左側のフタの開口部は、ガンネルとの距離をとったコダワリの設計。エレキのフットペダルはもちろんオフセット仕様。

操船時に滑りにくい独特のステアリング形状。ウインドシールドは小さめ。この辺のデザインにもリックのコダワリが。

試乗艇は魚探が2機セットされていたけど、これはオプション。

3人が並んで座れるシートで、真ん中は折り畳み式。助手席と真ん中の下にはクーラーボックスが。リヤデッキもこのサイズとは思えない広さで、ストレージの容量も十分。バスキャットは比較的幅が狭くて後ろで釣りづらいモデルも多かったけど、パンテラクラシックはその辺も考慮されてる。

ゴツいアメリカ人が並んで座れるサイズ。走行時のホールド感もバッチリ。
夏場の必需品、クーラーボックス。氷やドリンクをたっぷり入れて熱中症対策に。

そしてバスキャットといえば、ヒッチ付近に装着されたバーと踏み台。これもリックのアイデア。ボートの上げ下ろしにめっちゃ便利です。

1人で上げ下ろしする際にも大活躍。痒い所に手が届くとはまさにこのこと。

釣りのしやすさ、走行性能ともに言うことなし!

このパンテラクラシック、アメリカではカレッジリーグ(大学生のトーナメント)やローカルアングラーに人気だという。2人がフロントデッキで釣りをすることも多く、そのためにワイドなデザインとなっているのだ。取材時は琵琶湖の人気ガイド上田直紀さんと、アメリカンドリームトーナメントで来日していたケビン・ショートにフロントデッキで釣りをしてもらった。「大柄なケビンがフロントデッキにいても、ストレスなく釣りができますね」とは上田さん。

身長190センチ近いケビンはバスキャットのセールスマネージャーという一面も。「手頃なサイズでホントにいいボートだよ! 家族連れにもオススメしたいね」。

もちろんフロントとリアに分かれての釣りも快適。「バスキャット全般にいえることですが、釣りの際に風や波に流されにくいのでエレキの操作も楽ですね」とは上田さん。

フロントもリヤデッキも十分な広さ。フロントに2人、リヤに1人で釣っても問題なし。
マーゲイ、セイバー、パンテラⅡ、パンテラⅣ、クーガーFTD、エイラFTD、キャラカル、そして今回のパンテラクラシック。キャラカルあたりから設計コンセプトが変わってきたと思う。

「マイケルほど色んな種類のバスキャットに乗ってる人間も珍しいよ」とは桐山さん。その言葉どおり、仕事という名目で日本でもアメリカでも、これまで何機種ものバスキャットを爆走させてきました(笑)。そんな俺がパンテラクラシックを操船した第一印象は、「とにかく気持ちよく走る」。それとステアリングの動きに素直に船がついてくるというか、思い通りに走ってくれました。次はもうちょい荒れた時に走ってみたい(笑)。そんなパンテラクラシックの試乗の際に、俺は話題のSKTマグナムで50センチをゲット。本当にいい船だと思いました(笑)。

ウィードに当てて浮かせた直後にグン、と重くなった。編集者は釣りしてナンボです(笑)。

勝てばアメリカへ。そしてアメリカで勝てばバスキャットがその手に! 目指せアメリカンドリーム!

桐山さんが主催し、秋の恒例イベントとなったアメリカンドリームトーナメント。今年もたくさんの参加者で盛り上がって、優勝チームはアメリカ行きをゲットした。しかも今年のウイナーはご存知、川村光大郎さんと草深幸範さん。もちろん2人は来年春にアメリカで開催されるバスキャットオープンに出場。その試合に勝てば新艇のバスキャットを獲得できるという、文字通り「夢」が詰まったイベントだ。来年も開催予定なので、ぜひエントリーして「夢」をつかんでほしい。300艇近くのバスキャットが一堂に会する光景は圧巻ですよ。

2016年のバスキャットオープンのひとコマ。行けば毎日がバスフィッシング。
300艇近いバスキャットが一堂に会するイベント。来年は、川村&草深コンビがこの景色を目にすることに。

[文/野村 "マイケル" 英之釣りPLUS

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