【50代から始めた鉄道趣味】その3

※JR九州大村線から撮った大村湾に沈む夕陽

ちなみに百閒先生にまねびて筆者は鉄道旅で一切観光をしません。

過去約30回の鉄道旅での例外は、

”第1回/2009年8月”「余呉湖自転車一周」「仁徳天皇陵散歩」「熊野本宮大社」「那智大社」「伊勢神宮」「松本城」

この時は”第1回”なので、まだ鉄道旅というよりも、”青春18きっぷを便利に使って旅をする”という意識だったのです。昔読んだ秦恒平という作家の作品や吉田健一が余呉湖の鴨が美味いって書いていたのを思い出して余呉湖に行ったり、

大きさを実感したくて仁徳天皇陵の周囲を歩いて、剰りの暑さに失神しそうになったり、

やはり三島由紀夫の三熊野詣を思い起こして熊野大社や那智大社を巡ったり、名古屋に転勤していた頃に何度も行った伊勢神宮はいつも日帰りだったので早朝の散歩をしてみたり、

松本では友人に松本城に連れていってもらったりと「鉄道旅」というよりも「単に鉄道を使った旅」でした。でもこの旅で長時間普通列車に揺られることが予想外に楽しいことに気付いたのです。

”第2回/2009年9月“「恐山散歩」

この旅は少しずつ”鉄道旅”の様相を帯び始めていたのですが「憧れの恐山」を訪問しています。

この旅で、只見線、磐越西線、羽越本線(電化されていますが普通列車は気動車で運行されていました)、五能線、大湊線、八戸線、三陸鉄道北・南リアス線(その間に山田線宮古駅〜釜石駅を走行)、大船渡線、気仙沼線、石巻線、八高線と”非電化路線”に乗りまくって気動車に対する愛着が始まりました。東日本大震災で山田線、大船渡線など乗れなくなってしまった区間もあります。

”第3回/2009年12月“「高知桂浜散歩」

この鉄道旅は”長征”と呼んだ長旅でした。2009年12月21日に東京を出発して、8日間(1日は休憩して高知観光をしたのでトータルは9日間)で3364.6kmを青春18きっぷ=普通列車で旅しました。1日平均420km+を鈍行に揺られて旅したことになります。そのうち1247.5kmが非電化路線(高山本線、山陰本線、因美線、福塩線、三江線、木次線、芸備線、予土線、予讃線、土讃線)という充実した鉄道旅でした。

【50代から始めた鉄道趣味】その4 に続きます。(写真・記事/住田至朗)

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