【線材製品問屋・森本興業 創業70周年】〈森本省吾社長に聞く〉顧客ニーズに対応し100年企業へ 即納体制、加工部門を強化

 7月に創業70周年を迎えた線材製品問屋の森本興業。創業からの歩みや現在の業容、また将来への展望について、三代目社長の森本省吾氏に話を聞いた。(伊藤 健)

――創業からこれまでの歩みについて。

 「祖父の森本長男が1948年(昭23)7月に森本興業有限会社を東京都中央区に興した。祖父は以前、陸軍航空本部部員として軍需省軍需監督官を歴任し、当時の監督官関係及び工場利用培養担当として鉄鋼製品関係の監督と調達の任に当たっていた。戦後は公職追放に遭い官職には就けなかったが、技官当時に恩義を感じた支援者や鉄鋼メーカー各社の支援などにより、会社を設立できたと聞いている」

森本興業・森本社長

 「創業時は鉄鋼製品などの物資は統制時代であり、主に鋼板類を扱っていた。中島飛行機(現スバル)や川崎重工業などに鉄鋼製品を納入していたが、個人事業として将来的に鋼板類の販売や継続性を考慮し、線材二次製品に主力品種を切り替えて今日に至っている」

――その後、営業所などを拡大しています。

 「昭55年に父・森本宏が社長に就任した。前後するかたちで、営業所を拡大、また扱い品種の針金(亜鉛めっき線)の知見を生かして金網製造などへ業容を拡大していった。父は商売好きであり、祖父・長男会長と良きコンビとなって社業は発展した。物流改革や効率化などを進めて、現在は本社含めて営業所が3拠点、工場は1拠点となっている」

――森本興業の強み、特長は。

 「7千~8千トンの線材製品の在庫を常時保有している。この在庫レベルは全国的にもトップクラスだろう。特に強い品種としては、針金、ステンレス線、ナマシ鉄線。これらは細系から太径まで0・1ミリピッチで全サイズそろえている」

 「また迅速なデリバリー体制を構築しているのも強み。当社は当日注文の7~8割が翌日配送となっている。仙台や名古屋など地方の現場も翌日配送を心掛けている。大口から小口まで取引先は約1千社にも及び、小ロット・短納期にも対応できるのも強みだろう」

――次の80周年、将来への展望について。

 「『品質』と『安定供給』を社是とし、これからも仕入先・販売先の信頼を高めて、100年企業を目指したい。具体的には、顧客ニーズに対応した機能強化として、在庫量と品質のさらなるレベルアップを進める。効率的な在庫管理を構築して、多品種かつ小ロットの即納体制のさらなる強化に努める」

 「配送体制の強化としては、今期中に自社便をさらに増強する予定。また加工部門の充実も図っていきたい。今後は需要先の廃業などで直線加工など二次加工や三次加工のニーズがさらに増えてくるだろう。当社がその先のユーザーに商品を提供し続けるためにも、二次加工、三次加工の付加価値を追求するともに、需要先への安定供給につなげていきたい」

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