米ハーバード大の学生ら、東工大の体験型講座で「たたら製鉄と鍛冶」を学ぶ

 日本の伝統的な製鉄法「たたら製鉄と鍛冶」を学ぶ国際交流ワークショップ(体験型講座)が21日、東京工業大大岡山キャンパス(東京都目黒区)で開かれた。東工大と米国のハーバード大、マサチューセッツ工科大の学生ら約30人が参加し、製鉄法の概要を聞いたり、たたらで造られた鉄を母材にした日本刀を鑑賞したりして理解を深めた。

 東工大国際教育推進機構の太田絵里特任教授と同大物質理工学院の渡邊玄助教が企画。東工大で長年研究に取り組んでいるたたらを含む製鉄技術をともに学ぶことで、日本文化への理解や国際交流の輪を広げるのが狙いだ。

 初めに渡邊助教が日本での製鉄史を踏まえた上で、鉄鉱石が乏しい日本では砂鉄を原料としたため、鉄鉱石から造る西洋と異なるたたら製鉄が独自に発達したと解説。その利点として「リンや硫黄などがより少ないため折り返し鍛錬に耐えうる粘りのある鉄ができた」と指摘した。

 続いて刀匠の松田次泰氏が日本刀の歴史を紹介。国宝指定が多い平安中期~江戸初期までの「古刀」の製法を再現した自作の太刀や脇差しなどを示し「切れるという機能だけでなく、一見では分かりにくい美術性や精神性が求められる」とその魅力を紹介した。学生らは刀を実際に手に取り、焼き入れで刀身に生じた「刃文」などを眺めて鑑賞方法を学んだ。

 猛暑のため中止した鍛冶体験は、8月11日に実施する。

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