佐世保高1同級生殺害あす4年 級友ら20歳 消えない心の深い傷 「一生忘れない」

 2014年に佐世保市で起きた高1女子同級生殺害事件から26日で丸4年。被害生徒=当時(15)=と加害少女(19)の同級生は本年度、成人を迎える。事件で友達を失い、心に深い傷を負った高校時代。今も消えることのない悲しみを背負っている。

同級生だった男子学生は事件について「ふとした瞬間に思い出す。一生忘れることはないだろう」と話す=佐世保市内

 「友達が、友達を殺すなんて…」。
 中学のときから2人と同じ学校に通っていた女子学生(19)は4年前のあの日、テレビのニュースに目を疑った。現実とは思えなかった。
 実感が湧かないまま、数日後に葬儀に参列した。つらくて棺の中の顔は一瞬しか見ることができなかったが、確かに友達だった。
 思えば、中学に入ってすぐ、加害少女の「悪いうわさ」を聞いた。「小学生のとき、友達の給食になんか入れたらしい。危ない子だよ」。でも話してみると「普通にいい子」だった。だから、彼女が人を殺したという事実を受け止められなかった。
 事件後、被害生徒はいじめられていたといううわさが広まった。ツイッターに不特定多数の人から「お前がいじめたのか」などと書き込まれた。「いじめはなかった。悲しんでいるのに、おかしくなりそうだった」
 先生たちは生徒のメンタルケアに追われ、自主学習の時間が増えた。苦しくて、ずっと顔を伏せて時間がたつのを待った。校内で事件の話をすることはタブーだった。それは卒業まで続いた。
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 高校から同じ学校に通った男子学生(19)の生活も一変した。
 憧れて入った高校だった。それなのに、制服を着て歩いていると「事件の学校だ」と指をさされた。音信不通だった中学の友達から突然、事件について尋ねるメールが届いた。「この学校に自信を持てなくなった」
 被害生徒と話したことはなく、加害少女は見たことすらなかった。それでも葬儀には参列した。そこで遺族の悲痛な思いを目の当たりにした。遺影に手を合わせ、冥福を祈った。
 1年のときの文化祭は楽しかった記憶がない。「自分たちだけ楽しんでいいのかという雰囲気があった」。学校は数カ月間も、重苦しい雰囲気に包まれた。
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 2人は、大学に入って2回目の夏を迎えた。事件について思い返すことは減った。それでも男子学生は「高校時代の話をするとき、ふとした瞬間に思い出す。一生忘れることはないだろう」と話す。
 女子学生は今もLINE(ライン)に被害生徒の連絡先を残している。「もうメッセージを送ることもないし、名前を見たら思い出して、つらい。でも、消すことはできない」

 

◎佐世保高1女子同級生殺害事件

 2014年7月26日夜、佐世保市内の県立高1年の少女=当時(15)=が、1人暮らしをしていた市内のマンションで同級生の女子生徒=当時(15)=の後頭部をハンマーで殴った上、首を絞めて殺害。県警は27日に少女を逮捕した。長崎地検は殺人や死体損壊などの疑いで長崎家裁に送致。家裁は15年7月、医療(第3種)少年院送致とする保護処分を決定した。


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