新日鉄住金、油井管ねじ継手で新製品 耐トルク性能2割向上

環境配慮型、防錆力も向上/ノルウェー油田開発向け受注

 新日鉄住金は26日、環境に配慮した油井管用ドープ(潤滑油)フリーねじ継手「クリーンウェル・ドライ(CLEANWELL DRY)」で、新たにねじり(トルク)抵抗力と防錆力を向上させた新製品「クリーンウェル・ドライST」を開発、販売を開始したと発表した。油井の傾斜掘りなどで使用される継手の高トルク耐用力を強化。今年3月、ノルウェー沖油田開発向けに50本初受注した。

 通常、油井管を連結する継手は焼付防止用にグリス(潤滑剤)を塗布するが、グリスに含まれる鉛などの重金属流出が問題となっていた。クリーンウェル・ドライは2010年の販売開始以来、潤滑剤不要のねじ継手として、北海エリアの開発などで多くの実績がある。ただ、継手により高いトルクがかかるため、斜めに掘り下げる「傾斜掘り」などへの対応が課題だった。

 「クリーンウェル・ドライST」は油井管をつなぐカップリング内面に特殊コーティングで被膜を形成し、耐トルク性能を従来比約2割向上。現場施工性やリペア作業でもメリットがあり、油田開発全体のコスト削減への貢献も期待される。

 今年3月、クリーンウェル・ドライSTを施した特殊ねじ継手「VAM21HT」の油井管50本を厳環境規制のあるノルウェー沖油田開発向けに初出荷。油井管を油井に向かって降ろす降管速後が従来比1・5倍速く、掘削時間の短縮につながった。10月までに500本追加出荷する。

 今後、特殊ねじ継手とセットで、厳しい環境規制が敷かれている地域の開発プロジェクト向けのほか現場での作業性向上ニーズなどを捕捉し拡販を図る。

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