西武移籍の小川は中継ぎ陣の救世主に期待 セ左腕“先輩”榎田は復活果たす

西武へ移籍した小川龍也【画像提供:(C)PLM】

左サイドの変則投手、中日から金銭トレード

 西武は7月に中日の小川龍也投手を金銭トレードで獲得。左のサイドハンドから投げ込む速球とスライダーを武器にリリーフとして活躍を見せていた小川だが、今季は1軍での出場機会を得られないまま新天地へ移ることに。26歳の左腕は開幕直前のトレードを復活へとつなげた先達に続き、今季2人目の「成功例」となることができるだろうか。

 千葉英和高校から2009年のドラフト2位で中日に入団した小川投手は、プロ入り7年目の2016年に一躍ブレークを果たす。自己最多となる44試合に登板して1勝1敗9ホールド、防御率2.27という安定した成績を残し、貴重な左の中継ぎとして中日のブルペンを支える存在の一人となった。

 翌2017年も防御率2.19と前年同様の優れた数字を残したが、登板数は18試合と前年の半分以下にとどまった。そして今季はウエスタンでは21試合で1勝1セーブ、防御率2.40という成績を残していたものの、1軍での登板機会は一度も得られず。そして、7月19日に金銭トレードで西武へと移籍することが発表され、新天地で再起を期すことになった。

 西武の中継ぎ左腕としては昨季防御率1.98と大活躍した野田投手が徐々に調子を取り戻しつつあるが、直近の3シーズン連続で55試合以上に登板して大車輪の活躍を見せていた武隈投手が今季は防御率6.08と絶不調。今季は1軍で登板を重ねていた小石投手も現在は2軍で調整を続けており、左のリリーバーはやや手薄な状況だ。

 渡辺久信球団本部シニアディレクター兼編成部長は「現在、左のリリーフ陣が足りていない部分があるので、補強をいたしました」とトレードの意図を説明し、「小川君は1軍経験も豊富ですし、必ず戦力になってくれると思います」と新戦力に期待感を寄せた。

セで出場機会に恵まれない左腕という点は榎田と共通

 西武は今季の開幕直前、阪神でなかなか出場機会を得られていなかった榎田投手をトレードで獲得。経験豊富な左腕は久々に先発としての登板機会を獲得すると、ここまで14試合の登板で7勝2敗、防御率3.21と期待以上の活躍を披露し、見事に再生を果たしている。

 小川と榎田は同じセ・リーグで中継ぎとして活躍した左腕であり、実績がありながら満足な登板機会が得られなかったところも含めて共通点が少なくはない。直近の「成功例」と同様に、小川投手も環境の変化を触媒として再生を狙っていきたいところだろう。

 まだ26歳。プロ野球選手としてのキャリアは、まだまだこれからという年齢だ。2013年にはフィリピン代表としてWBC予選で先発マウンドを踏んだ経歴も持つハーフ左腕は、培ってきた経験を所沢の地で生かし、疲弊が隠せない西武のブルペンにとって救世主的な存在となることができるだろうか。(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

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