新日鉄住金の山特子会社化会見要旨、樋口氏「軸受メーカーの世界展開に対応」

 新日鉄住金と山陽特殊製鋼は2日、新日鉄住金が2019年3月末予定で山陽特殊製鋼を連結子会社化し、山特が欧オバコを新日鉄住金から買収して完全子会社化することで正式契約を締結したと発表した。記者会見での宮本勝弘新日鉄住金副社長、樋口眞哉山陽特殊製鋼社長の発言要旨は次の通り。

宮本「今回の子会社化の目的は山特がオバコ買収資金を調達し、かつ企業基盤をより安定化することだ。山特は今中期計画で500億円の設備投資を実行した上で、オバコを買収しても良好な財務体質を維持できる」

樋口「当社は高清浄度化技術をずっと追求してきた。オバコも軸受鋼など高清浄度鋼に力を入れ、当社と同じく素形材事業も手掛けている。軸受メーカーは日系、欧州系ともグローバル展開し、日系の欧州拠点もあれば欧州系のアジア拠点もある。統合の実現後は地域別最適生産体制を目指したい」

宮本「特殊鋼は技術優位性が生かせて差別化でき、有望な分野だと考えている。当社は八幡、室蘭製鉄所の設備投資や室蘭における三菱製鋼との合弁事業の深化も進めている。タイトな需給状況が続く中グループ全体で効率的生産を追求するとともに、お客様への対応力を強化する。研究開発を含めた技術交流により、新しい商品を創り出していきたい」

樋口「当社の今通期純利益予想はマヒンドラ(MSSSPL)の段階取得差益(14億円)を含めて80億円、オバコの今上期純利益は年率68億円。純利益ベースの統合シナジーでは35億円以上を目指す。増資により株式希釈化は進むが、オバコ買収による収益効果はそれ以上に大きい」

宮本「第三者割当増資とオバコ株の譲渡額はともに672億円。当社のオバコ買収額は517億円だったが、オバコのD/Eレシオは2・7と当社のグループ会社基準では低いので追加出資を行う(ため差額が生じる)」

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