光る活躍 育成出身選手、NPB復帰の独立リーガーたちが球界を熱くする

西武のデュアンテ・ヒース【写真:荒川祐史】

開幕後から7月末までに育成から支配下となったのは14選手

 8月に入っても、熱戦が続いている2018年のプロ野球。セ・リーグは広島が2位・巨人に9.5ゲーム差をつけて首位を独走し、2位以下は変わらず混戦模様となっている。パ・リーグは西武が首位をキープし、下位との差はじわじわと広がり始めている。

 支配下登録は7月31日に期限を迎え、シーズン終了までの各球団の編成は確定。残り2か月でペナントレース終盤戦が繰り広げられる。混戦が続く中で活躍が目を引くのが、シーズン開幕後に育成から支配下に昇格した選手たちだ。

 今季が開幕してから7月末までに育成選手から支配下契約を勝ち取ったのは、14選手。そのうち8選手は1軍公式戦に出場している。育成選手から支配下登録を勝ち取った選手たちと、その支配下登録後の1軍での成績は以下の通りだ(支配下登録公示された順)。

中日 R.マルティネス投手(4試合1勝1敗0S0H 5.40)
楽天 久保裕也投手(14試合1勝0敗1S1H 2.30)
広島 G.フランスア投手(19試合1勝2敗0S8H 2.17)
巨人 S.アダメス投手(8試合0勝0敗1S0H 0.75)
巨人 C.C.メルセデス投手(4試合3勝0敗0S0H 0.62)
中日 福敬登投手(今季1軍登板なし)
巨人 J.マルティネス内野手(9試合34打数9安打1本塁打3打点 .265)
楽天 石橋良太投手(1軍登板なし)
ヤクルト 古野正人投手(1軍登板なし)
阪神 歳内宏明投手(1軍登板なし)
ソフトバンク 大竹耕太郎投手(1試合1勝0敗0S0H 2.25)
巨人 松原聖弥外野手(1軍出場なし)
DeNA 田村丈投手(1試合0勝0敗0S0H 18.00)
オリックス 佐野皓大外野手(1軍出場なし)

 特筆すべきは、育成選手としてNPB球団に加わり、支配下に昇格した外国籍選手の存在だ。広島のフランスアはリリーフ陣での座を確たるものとし、ここまで8ホールドをマークしている。37回1/3で52三振と奪三振数の多さも際立っている。

 巨人は育成から昇格させた外国人選手が軒並み戦力となり、今では1軍で不可欠な存在に。メルセデスは4試合に先発し、25イニング連続無失点を記録するなど3勝をマーク。頼れる先発のピースとなった。イースタン・リーグで14本塁打を放ったマルティネスも二塁でスタメン出場し、早くも戦力となっている。血行障害のリハビリのために育成契約に変更となっていた楽天の“松坂世代”久保も中継ぎの一角として役割を果たしている。

BCリーグから加入したヒースと岩本も活躍中

 そして、センセーショナルなデビューを飾ったのが、ソフトバンクの大竹だ。育成ドラフト4位で早稲田大から加入した左腕は、先発事情の苦しさから支配下昇格即初先発を遂げ、1日の西武戦で8回2失点と好投。史上初となる育成出身ルーキーの初登板初先発初勝利という快挙を達成した。大竹はそのままローテにとどまり、8日のロッテ戦(ZOZOマリン)で先発する予定だ。

 また、チームに欠かせぬ存在となっている新戦力として、独立リーグを経てNPBに復帰した2人も忘れてはならない。西武のデュアンテ・ヒース投手と、オリックスの岩本輝投手だ。

西武 D.ヒース投手(20試合3勝0敗2S5H 2.41)
オリックス 岩本輝投手(7試合1勝0敗0S4H 0.00)

 2014、15年と広島に在籍したヒースは、その後メキシカンリーグでプレー。今季からルートインBCリーグの富山に加入すると、5月に西武へ入団した。増田、そして代役クローザーのカスティーヨが相次いで不振に陥り、現在はヒースがクローザーに。ここまで20試合に投げて3勝0敗2セーブ5ホールドの成績で、西武の優勝に向けて鍵を握る存在となっている。

 2011年から2016年まで阪神に在籍していた岩本は、2016年オフに阪神を戦力外となり、2017年からはルートインBCリーグの福井でプレー。7月に入ってオリックスに加入すると、中継ぎとしてチームの戦力となっている。ここまで7試合に登板し、いまだに無失点。4日のソフトバンク戦ではNPB復帰後初勝利をマークした。

 かつては巨人の山口鉄也、最近ではソフトバンクの千賀滉大や甲斐拓也といった面々が、育成選手から球界を代表するプレーヤーとなった。そして、一度はNPBから離れ、再びその舞台へと戻ってきた2人の元独立リーガー。NPBへの道を切り拓いた選手たちが、後半戦の鍵を握るかもしれない。(Full-Count編集部)

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