自動車向け鋼材、供給タイト化さらに進む

自然災害や物流規制の影響も

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 地区鋼材需要の過半数を占める自動車向けで「供給タイト化」が着実に進んでいる。特殊鋼関連の棒鋼、鋼板などが一様にタイト感を強めており、異常気象による自然災害や相次ぐ設備トラブル、法規制強化による物流面での制約が自動車生産にマイナス影響を与えるのではないか、との懸念が関係者に出てきた。「不安を煽ることでユーザーの申し込み量がさらに増え、タイト化に拍車が掛かる悪循環に陥ることが心配」との見方もあるが、「日本のものづくり力」が問われる局面に入ってきた。

 「本当に綱渡りの供給環境が続きそう」と地区で自動車部品メーカーに素材を収める使い筋がつぶやく。

 特殊鋼棒鋼・線材製品の「超タイト」は、今年の猛暑に勝るとも劣らない超過熱状態。「下期はさらに需要が増える」との見方が一般的。世界的な自動車需要の伸長が、結果的に重要保安部品などの国内生産増という形で進んでおり「国内の自動車販売はいまひとつだが、KD・CKD生産は増える」という図式が見える。

 そうした中、西日本豪雨の影響で特殊鋼鋼板などの需給にタイト感が増してきた。今のところ、製品在庫の状況などから部品生産などに支障をきたす事態は避けられそうだが、しばらくは綱渡り状態が続く。

 また、製鉄所での設備不調などの情報もたびたび市場を駆け巡っており、これも関係者にとっては不安材料になる。

 さらに関係者が懸念するのは、そうしたタイト感に追い打ちをかけるように台風などの災害が起こったり、人手不足や物流の規制強化の動きなどが思わぬところで生産活動に影響を与えたりする可能性だ。自然災害などは鉄鋼業にとって外部的な事情ともいえるが、その結果、意図しない在庫が増えることは短期的にマイナスになる。

 実際、鋼板コイルなどはメーカー生産がタイトであるのに流通在庫に「潤沢感がある」という環境となっている。この「ねじれ現象」の理由は複合的なものだろうが、諸コスト上昇にともなう販価政策と一見相反している印象を与えかねない。

 見かけの在庫情報や販売姿勢に惑わされず、全体をよく見た販売姿勢、先行き予想が大事な場面になってきた。