「焼き場に立つ少年」カード配布 ローマ法王メッセージ添え

全国のカトリック教会で20万枚

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 原爆投下後の長崎で撮影されたとされる「焼き場に立つ少年」の写真にローマ法王フランシスコのメッセージを添えたカードが、長崎県を含む全国のカトリック教会で配布されている。

 法王が昨年末ごろ、平和の大切さを訴えるため写真の普及を呼び掛けたのを受け、カトリック長崎大司教区の高見三明大司教が発案。カトリック中央協議会(東京)が20万枚(うち長崎県内2万8千枚)を印刷し、広島原爆の日から長崎原爆の日、終戦の日までの「平和旬間」(6~15日)に国内の信者らに行き渡るよう全国の教会向けに6月末発送。各教会が無料配布している。

 カードははがき大で、元米従軍カメラマンの故ジョー・オダネル氏が撮影した写真を印刷している。裏面には「戦争がもたらすもの」という言葉と法王のサインを記載。「亡くなった弟を背負い、焼き場で順番を待つ少年」「この少年は、血がにじむほど唇を噛(か)み締(し)めて、やり場のない悲しみをあらわしています」との説明文も付いている。

 高見大司教は「法王は写真を見て『戦争をしてはいけない』というメッセージになると直感したのだと思う。写真には言葉と同様に力がある」と話している。

 長崎市の田上富久市長は5月にバチカンで法王の一般謁見(えっけん)に参列、被爆地訪問を呼び掛けた。ローマ法王の被爆地訪問は1981年2月の故ヨハネ・パウロ2世以来、実現していない。

 ただ、法王が「焼き場に立つ少年」に関心を寄せていることや、今年6月には長崎県出身の前田万葉・カトリック大阪大司教区大司教がローマ・カトリック教会の枢機卿に起用されたことなどから「法王は長崎訪問に備えているのでは」との希望的観測も関係者の間にはある。

「焼き場に立つ少年」の写真が印刷されたカード表面
メッセージを添えたカードの裏面