この夏に武藤嘉紀が移籍したニューカッスル。
イングランド屈指の歴史と人気を誇るクラブであるが、個性的な選手も数多くプレーしてきた。ここでは、そのごく一部を振り返ってみる。
元フランス代表FWロラン・ロベール(2001~2006)
「左足の魔術師」などと形容されたレフティ。
高速ドリブル、高速キック、フリーキックを売りとするアタッカーで、左足のキックは破壊力抜群だった。映画『Goal』でも、彼のキックが使われたほど。
ファンに愛されたカルト的ヒーローだったが、グレアム・スーネス監督との衝突もあり退団…。
それでも、ボビー・ロブソンのことは敬愛しており、当時のニューカッスルについてこう述べている。
「僕らにはとてもいい監督だけでなく、素晴らしい選手もいたんだ。シアラー、ソラーノ、ギヴン、スピードらワールドクラスの選手たちがね」
「非常にいいグループだった。ピッチ上だけでなく、ピッチ外でも素晴らしい関係だったんだ」
元ペルー代表MFノルベルト・ソラーノ(1998~2004、2005~2007)
ロベールからもワールドクラスだったと讃えられたソラーノは、ペルー代表でキャプテンも務めたペルーサッカー界の重鎮。
スピードがあり、クロスが上手く、個人での突破もできるうえ守備もやる。一貫性のある職人的な右ウイングでゴール前での小細工も巧かった。
ファンから愛された選手であり、ヴィラ移籍後にはリヴァプール行きも噂されていたがマグパイズへ復帰。
当時のフレディ・シェファード会長は「ファンたちがノビーの復帰を心から望んでいたことは分かっていた。それを聞き入れたんだ」と述べている。
そんなソラーノは音楽も愛しており、趣味であるトランペットの腕前はプロ級。実際にサルサのバンドに所属しており、プロのミュージシャンになることを考えたこともあるそう。
元フランス代表MFダヴィド・ジノラ(1995~1997)
プレーも顔立ちもセクシーだった天才MF。ケニー・ダルグリッシュとの衝突でスパーズに売却されたが、ニューカッスルでもレジェンドやヒーローとして扱われている。
あのポール・スコールズも「素晴らしい選手だった。両足が使えて、突破もできた。僕らが3冠を達成したシーズンにもかかわらず、彼が『FWA年間最優秀選手賞』を受賞したのは今でも驚きだよ」と述べている(受賞したのはスパーズ時代)。
PSGからニューカッスルへ移籍した際の秘話について、本人はこう明かしている。
「ニューカッスルに行った理由は、プレミアリーグでの足がかりにしたかったからだ。
驚きだったよ。(ニューカッスルが)どれほどビッグで、どれほど情熱的なのかを知らなかったからね。ニューカッスルがチームとしてどれだけいいかも知らなかった。
選手としては、あの場所であのファンたちの前でプレーするのは『Wow』って感じだよ。なんて場所なんだ!ってね」
ちなみに、51歳になった今年に28歳の女性との間に女の子をもうけている。さすがである。
DFタイタス・ブランブル(2002~2007)
元フランス代表ブームソンとともに、ニューカッスルで何かとネタにされたDF。
U-21代表では活躍して将来のイングランド代表レギュラーと期待されたセンターバックだったのだが…。
ニューカッスルでは信じられないミスを連発する”逆ファンタジスタ”としてネタにされた。
皮肉なことに移籍先のウィガンで覚醒。持ち前の身体能力を武器に、クラブのシーズン最優秀選手にも選ばれた。
ちなみに「皆が言うほどニューカッスルファンは素敵じゃない。彼らは自分たちが勝つべきだと思っているが、なぜなんだい?彼らは50年間もトロフィーを勝ち取っていないんだよ」と言い放ったことも。
その後、ニューカッスルの宿敵であるサンダーランドでもプレーした。
元イングランド代表MFジョーイ・バートン(2007~2011)
イングランド屈指のお騒がせ選手。
デビューしたマンチェスター・シティでは、相手の攻撃の芽を摘みつつ、パスを散らすコンダクターとして台頭する。だが、問題行動が多かったこともあり、2007年にニューカッスルに売却されることに。
マグパイズでは判断力や人間性を向上させたかに思われたが、基本的なキャラは変わらず…。
バートンがシティ時代にウスマーヌ・ダボを網膜剥離させたことによって、ダボの友人であるミカエル・シルヴェストルがニューカッスル移籍を断るということもあった。
また、ニューカッスル退団後には、「マイク・アシュリーが会長である限り、あのクラブはダメだ」と述べたことも。