【MLB】大谷翔平の「インパクト」 米記者が称賛、二刀流“目撃“は「一生ものの体験」

エンゼルス・大谷翔平【写真:Getty Images】

新人王はアンドゥハーと一騎打ち!? 「オオタニを選出することも考慮すべき」

 エンゼルスの大谷翔平投手は19日(日本時間20日)の敵地レンジャーズ戦で「3番・DH」で3打数1安打1得点と活躍。チームは2-4で逆転負けを喫したものの、第2打席で快足を飛ばして“右前二塁打”をマークし、スピードという武器をあらためて印象づけた。

 右肘靭帯損傷から打者として復帰後、打率はやや落として.268となっているが、13本塁打、38打点をマーク。また、投手としても離脱前に9試合登板で4勝1敗、防御率3.10、49回1/3で61奪三振の好成績を残し、現在は今季中の復帰を目指して調整を続けている。権威あるスポーツ誌「スポーツ・イラストレイテッド」では、新人王を予想する特集の中で4人の記者のうち2人が大谷をプッシュ。開幕直後の二刀流での大活躍を目撃したことは「一生ものの体験」と絶賛している。

 同誌では「MVP、サイ・ヤング賞、新人王争いをリードしているのは誰か?」と題して、賞レースを予想する記事を掲載した。ライターであるステファニー・アプステイン氏、ベン・ライター氏、ジョン・テイラー氏、コナー・グロスマン氏の4人がそれぞれの賞の「本命」をピックアップ。新人王では、大谷、そしてヤンキースのミゲル・アンドゥハー内野手に真っ二つに割れている。

 アプステイン氏は大谷を支持。「私の予想ではミゲル・アンドゥハーが最終的には獲得するだろうし、彼の今季の活躍を無視することはできない」としつつ、大谷がいかに魅力的な存在であるかを力説している。

「しかし、述べさせてほしい。オオタニのWARは比較可能であり、肘を痛めるまで、彼は投打の両方をこなしていた。単純にWARの最上位の選手が名誉に輝く賞もあるだろう。しかし、オオタニの一連の活躍は我々にとっては一生ものの体験であり、もしオオタニが指標面で肉薄することになれば、オオタニを選出することも考慮すべきであろう」

「最終的には、オオタニが残したインパクトとポテンシャルが抜きん出ている」

「WAR(Wins Above Replacement)」とはセイバーメトリクスで最も重視される指標の1つ。様々な指標を総合して、ある選手が走攻守の全てを合わせて、どれだけ勝利に貢献したかを評価するもので、「控えレベルの選手が出場する場合に比べて、どれだけチームの勝利を増やしたか」を表している。ただ、大谷は数字では表すことのできないインパクトを残しているという。

 テイラー氏も“大谷推し”だ。当初、新人王はアンドゥハーではなく、同じヤンキースのグレイバー・トーレスとの一騎打ちになると思われていたと説明しつつ「オオタニは肘を故障して登板の機会を逃し、トーレスは臀部の故障以来、復帰後も苦しんでいる。ホワイトソックス(エロイ・ヒメネス)やブルージェイズ(ヴラディーミル・ゲレーロJr.)が有望株をマイナーに留めていなければ、状況は変わっていたかもしれない」と指摘。ただ「最終的には、オオタニが残したインパクトとポテンシャルが抜きん出ている」と、やはり大谷の存在感が際立っていると結論づけている。

 一方で、ライター氏はアンドゥハーを本命として、その理由を「彼は長打マシーンだ。グレイバー・トーレス(ヤンキース)とオオタニが故障したということもあり、彼が新人王に輝くだろう」と説明。また、グロスマン氏も「まず、当初この賞はショウヘイ・オオタニのためのものであり、その後はトーレスのものであった」とした上で「現時点ではアンドゥハーのものだ」と予想している。同氏はアンドゥハーの打撃成績を高く評価し「トーレスがシーズン序盤の輝きを取り戻し新人王争いにからんでくるか、見ていくことにしよう」と、トーレスが対抗馬になるとの見方を示している。

 約1か月の離脱がありながらも、新人王の有力候補として名前が挙がる大谷。残りの約1か月半で打者として、そして投手としても再びインパクトを残せば、2001年のイチロー以来となる日本人4人目の栄誉を手にする可能性は十分にある。(Full-Count編集部)

© 株式会社Creative2