三菱マテと日本磁力選鉱、廃リチウム電池リサイクルでコバルト・ニッケル回収技術を共同開発

 三菱マテリアルは20日、日本磁力選鉱と電動車両(xEV)用リチウムイオン電池(LIB)などに含まれるコバルト(Co)やニッケル(Ni)などのリサイクル技術を共同開発すると発表した。同社が開発したLIBの活物質からCo、Niを回収する精製装置を年内に日本磁力選鉱のひびき工場(福岡県)の敷地内に設置する。

 熱分解からCo・Ni回収までを行うLIBリサイクル設備を今年度内に稼働して実証試験を開始し、事業化に向けた同設備の技術的検証とその結果に基づく改良技術の共同開発を推進する。早ければ2020年4月をめどに事業化し、年間40~50トン(Co・Ni合計)規模の回収を目指す。

 両社は、経済産業省や環境省による実証事業を通じて、廃LIBの放電、解体、熱分解、輸送などに関するLIBリサイクルの研究開発に共同で取り組んできた。今後は、これまでの実証事業での成果をもとに、三菱マテリアルのレアメタル湿式精錬技術も活用し、LIBリサイクルの早期事業化に向けた総合的な技術開発に取り組む。

 同実証事業で三菱マテリアルが開発したCo・Ni精製装置を、年内に同社の小名浜製錬所(福島県)から日本磁力選鉱のひびき工場に移設し、廃LIBの放電から金属回収までの一貫処理体制を整える。同精製装置は移設後、3カ月程度の試運転を行い、1年程度の実証試験を行う予定。小名浜製錬所では年間約2トンの回収を行っていたが、事業化後は同40~50トンの回収を目指す。

 使用済みxEVに搭載されたLIBや電池製造メーカーで発生する工程内不良品などを安全かつ適正に処理し、Co・Niなどを高効率に回収する総合的なリサイクル技術を確立することで、需要拡大が見込まれるLIB材料の安定供給とリサイクルシステムの構築に貢献する考え。

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