日本第一党のヘイト街宣、福田市長「不適切」

【時代の正体取材班=石橋 学】川崎駅前で極右政治団体・日本第一党が14日に行ったヘイト街宣について、川崎市の福田紀彦市長は21日の定例会見で、在日コリアンをおとしめる横断幕が掲げられたことに「書かれていた文言は不適切。そうした横断幕が掲げられたことは大変残念」との見解を示した。

 街宣は、市内で在日コリアンへの差別をあおるデモや集会を繰り返してきた同政治団体最高顧問の瀬戸弘幸氏の呼び掛けで行われた。党首の桜井誠氏のほか、都内や大阪、京都など県内外からメンバーが参集。「暴れるな朝鮮人」と在日コリアンを暴力的な民族であるかのようにおとしめ、迫害を扇動する横断幕が掲げられるなどヘイトスピーチが行われた。

 人種差別に反対する市民も多数集まり、ヘイトスピーチをかき消すために抗議の声を上げた。福田市長は「通り掛かった人は驚いただろうし、不快な思いをされたと思う。市のイメージが悪くなる」と遺憾の意を表明し、「不適切な文言で傷つけられた市民もいると思う」と述べた。

 市は公的施設でのヘイトスピーチを防ぐため、公園や市民館の貸し出しに関するガイドラインを設けているが、駅前での街宣は無届けで行うことができる。瀬戸氏は定期的に行うと宣言しており、福田市長は「ヘイトスピーチ対策を含む人権全般に関わる条例の制定をしっかり進めていきたい」とした。今回掲げられた横断幕は今後、瀬戸氏らによる公的施設の使用に関する申請があった場合に、可否を検討する「判断材料になる」とも明言した。

日本第一党のヘイト街宣には抗議の市民が大勢駆け付けた=14日、川崎駅東口

© 株式会社神奈川新聞社