【国内建材市場、下期動向を探る】〈(3)建材薄板〉住宅用カラー鋼板、荷動き改善へ

消費増税の駆け込み需要に期待

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 H形鋼やコラム(大径角形鋼管)など鉄骨部材のタイト感に比べて若干温度差があるのが、屋根や壁、ダクト材といった建材薄板製品だ。民間企業の旺盛な設備投資に伴い、物流施設や工場など非住宅の建設需要は堅調を維持する一方、戸建てをはじめとする住宅市場は力強さを欠いている。その流れを象徴するように、大規模な非住宅向けが主体の耐火熱パネルは春先に続き、今秋にもメーカー各社で高操業での出荷が想定される。

 国土交通省によると、1~6月における非住居建築物の着工床面積は高水準だった昨年並みで推移。多くの流通業者が秋口以降、物流倉庫や工場、企業の新規店舗など複数の建設案件を抱える。鋼板メーカーにおいても、先物の見積もりや納期を知らせる動きが活発になっている。今後の受注量に対して折板加工やデリバリーなどの加工や配送の能力不足を心配する見方が出ているものの、現時点で先行きのひっ迫感を危惧する声は聞こえてこない。

 内・外装材の建材薄板は躯体工事の進ちょくに委ねられ、鉄骨工事の遅延が建材薄板の秋需の出現にも大きく影響する。流通各社も建設工事の進ちょくに着目し、折板の加工計画や配送トラック便の確保に細心の注意を払っている。

 一方、住宅向けの薄板建材やカラー鋼板は春先から動意が鈍い状況が続く。1~6月の新設住宅着工戸数は前年同期より5%少なく、直近の6月統計でも前年同月の水準に届かなかった。

 窓口商社筋は「来年10月に控える消費税増税前の駆け込み需要が必ず出てくる。住宅展示場もにぎわっている」と期待を込める。すでにシステムキッチンやバスなどを製造する住宅設備メーカーは仮需に向けた生産増にシフトしているとの話も出ており、「今年の後半から緩やかに持ち直しの動きが出てくるだろう」と改善を予想する見方が少なくない。

 新築住宅に加え、リフォーム・補修分野でも金属屋根の比率が高まっているようだ。特約店筋は「老朽化したスレート屋根に金属屋根を取り付けるニーズが増えている」と指摘する。

 関西では非住宅向けで物流倉庫や工場の老朽化更新関連などの荷動きが安定的にある一方、住宅向けの薄板建材、カラー鋼板は、盛り上がりに欠ける。大阪府北部の地震や、西日本豪雨などの影響で、リフォーム関連の引き合いが増える見込みにあり、域内の有力加工流通業者は「復興需要はそれほど聞かれないが、案件は徐々に出てくるだろう」と観測する。

 内装材は空調用のダクト工事の繁忙期を迎えている。関東地区では郊外で病院施設や工場の建設、都市部ではビル再開発の現場が動きだすとともに、インバウンド需要に伴う空港や駅の施設などインフラ整備が一斉に立ち上がっている。地区の中堅ダクト業者は「職人不足が深刻。このままでは竣工できない現場も出てくるのではないか」と警戒感を強めている。

 市場では鋼板メーカー間で引き続き値上げの動きがあり、極端な安値折り合いは回避されているものの、総じて様子見ムードが続く。メーカー各社は原板や副資材の高止まりで採算確保が厳しく、下期以降も各社で新販価の浸透に向けてさらに売り腰を引き締めてくるとみられる。需給の動向次第では製販需の各階層で積み残し分を含めた価格交渉が進展しそうだ。