憧れのK-POPアイドルになりきり、踊る。魅惑的に、時にはクールに-。
長崎の大学生や専門学校生らでつくる「N(x)(エヌエックス)」は、韓流好きが毎週集まり、コピーダンスを練習しているサークル。「1人で韓流を楽しむのもいいけど、仲間がいるともっと楽しい」。彼女たちにとって、ここはそう思える大切な場所。
長崎大を中心に長崎近郊の大学生、留学生ら97人が所属。始まりは2014年4月、韓国好きが集まっておしゃべりする愛好会として10人で結成された。「踊ってみよう」と、その年の長大祭で初ステージ。以来、学園祭や地域イベントなどに出演し、K-POPのコピーダンスを披露している。徐々に知名度が上がり、ステージに呼ばれる機会も増えた。
「中学生のころからK-POPが好きだったけれど、中学高校時代は『これが好き』って話せる人はいなかった。話をできる人がほしくて、N(x)に入った」。部長の庄司菜緒さん(21)=長崎大教育学部3年=はそう話す。韓国のアイドルを好きな人、踊りたい人、ダンス経験がある人ない人さまざまだが、「簡単に言えばおたくの集まり」と庄司さん。
毎週水曜夜に、長崎大文教キャンパスの練習場で直近のステージへ向けて稽古。TWICEやBTS(防弾少年団)、Red Velvetといった韓国のアイドルの楽曲を踊ってみたい人が、実際のグループと同じ人数になり、それぞれメンバーになりきる。
練習中も、各自の手にはスマートフォン。新曲が出ると配信されるアイドル自身が映ったダンスの練習動画や、撮影が許可されたライブの動画をスマホで見ながら1人で振りを覚え、その後にグループで踊りを合わせていく。庄司さんは「K-POPは、かっこよくてかわいくてダンスも歌も上手。実際に踊ると難しく、アイドルはすごいという気持ちになる」と話す。
K-POPの歌やダンスの輪は、世界的に広がっている。韓国では11年から毎年、世界規模の「K-POPカバーダンス フェスティバル」を開催。今年は65カ国から計3千を超えるチームがエントリーし、選ばれた11チームが出場した。
日本でも予選となる全国大会や地方大会が毎年開かれており、年々参加者が増加。N(x)は昨年、北九州市であった「K-POP&K-POPカバーダンスコンテスト」の九州大会(大阪韓国文化院と同市共催)に初参加し、優秀賞を獲得。今年も審査員特別賞を受賞した。
先月、長崎大の中部講堂で4度目の単独コンサートを開催。細かなしぐさまでアイドルになりきり、K-POPならではのキャッチーな29曲をダンス、観客を魅了した。
メンバーで前部長の加賀麗さん(21)=同大教育学部4年=は「N(x)は、K-POPで好きな曲、得意な曲を何でも踊っていい場所。興味がある人はYouTubeやツイッターをぜひのぞいてみて」と話している。