【新日鉄住金グループ企業の〝今〟40】〈日鉄住金精圧品〉自動車用精密部品に特化

高品質、「ワンストップ体制」に強み

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 日鉄住金精圧品は特殊鋼棒鋼および線材を素材に伸線から冷間鍛造、機械加工までを行い自動車部品を製造する中部地区の特殊鋼加工メーカー。素材から加工製品まで一貫して対応することで、お客様の要求内容に合わせて自社で全て請け負う「ワンストップ体制」に強みを持つ。ステアリングやミッション、環境関連部品の生産だけでなく金型の設計製作、技術開発、試験検査機能も自社化。自動車業界の品質規格「TS16949」に則った高品質品が好評を得ている。

 同社は建築・橋梁用高力ボルトを製造販売する「梅鉢ファスナー」として1970年に創業した。78年に自動車用精密部品に参入、85年には住友金属工業の完全子会社となり住金精圧品工業に改称した。12年に日鉄住金精圧品に社名変更後、翌年日鉄住金ボルテンに高力ボルト事業を譲渡し、自動車用精密部品事業に特化した。

 愛知県半田市の本社工場のほかアメリカ、タイにも生産拠点を置く。米・IPF社に続いて、タイ・TPP社も新規製品の受注を機にフォーマーを新設し、今年末をめどに一貫生産体制を始動。世界三極での部品供給体制を構築する計画だ。

 本社工場では近年、増産要請に対応する形で加工設備を中心とする増強投資を重ねてきた。ただ「三極体制が整う中で、改めて米・タイに技術提供するマザー工場としての役割が大きくなる」(川上社長)ことから、今後は製造実力を高めるための生産性向上投資、工程自動化への投資にも注力する方針。検査工程を皮切りとしてAI、IoTの活用法も模索する。

 「ものづくり力」に一段と磨きをかけるべく、幅広い教育も展開する。外部コンサルタントを招いた研修、社外教育に加えて、経験豊富なベテラン社員が講師を務める教育プログラムもスタート。若い世代へのノウハウの着実な継承を促し、スキルの底上げに取り組んでいる。

 また、長年小倉製鉄所で棒鋼圧延畑を歩み続けた川上社長は、現場を担当する社員一人一人のものづくりに対する意識を高めようと、6月の就任以降頻繁に工場へ足を運び自身の経験を基とする指導も行う。川上社長は「QCサークル活動や教育を通じて、自らが考え自発的に改善に向けたアクションが起こせるような人材を育てたい」と思い描く。

 親会社との連携も欠かせない。新日鉄住金の棒線事業ブランド「SteeLinC」に参画し、共同で新工法の開発を推進するだけでなく、富津研究所をはじめとする各拠点との技術交流会を継続。工法開発、分析、解析分野でのレベルアップが進む。

 営業面では、数ある棒線加工メーカーの中でも需要家に近い立場を活用した活動を展開する。

 自動車部品は引き合いから量産までのリードタイムが約3~5年と長く、業界の変化やトレンドを正確に捉える必要性が高い。

 そこで新日鉄住金の協力を得ながらユーザーとの関係強化に注力。三社間で情報交換をしながら開発段階から新規製品の計画に参加するよう努め、受注拡大につなげている。

 人材の積極採用、女性社員のオペレーター登用に向けた職場環境改善などの整備にも動きだした。「これまで以上にお客様に信頼され、社員が働いて良かったと思える会社」(同)に向けた全社、グループ一体となった今後の取り組みが注目される。

企業概要

 ▽本社=愛知県半田市

 ▽資本金=4億8千万円(新日鉄住金100%)

 ▽社長=川上浩一郎氏

 ▽売上高=74億400万円(17年3月期、単独)

 ▽主力事業=自動車用精密部品の製造販売

 ▽従業員=350人(18年7月現在)