初の打点王はほぼ確実の燕バレンティン 4度目の本塁打王で2冠王なるか

ヤクルトのウラディミール・バレンティン【写真:荒川祐史】

米国ではイチローの同僚、2013年には60発のNPB記録

 ヤクルトのウラディミール・バレンティンは、若き日にイチローのチームメートだった。

 オランダ領キュラソー出身のバレンティンは、16歳でマリナーズとマイナー契約、身体能力の高い外野手として期待され、2007年にメジャーに昇格、翌年は71試合に出場。この年のイチローは右翼を91試合、中堅を69試合守ったが、バレンティンも右翼を35試合、中堅を29試合守っている。バレンティンもイチローに負けない強肩で、右翼では5補殺を記録している。

 バレンティンはプロスペクトとして攻守に期待が大きい選手だったが、変化球に対応できなかったために不振が続き、翌年夏には放出され、レッズと契約。しかしレッズでもレギュラーには定着できず2010年は3A暮らし。このオフに戦力外となり、2011年にヤクルトにやってきた。

 ヤクルトでのバレンティンは日本人投手の配球と変化球を研究し、1年目から31本塁打を打って本塁打王に輝く。2年目の2012年も31本塁打で2年連続本塁打王。NPBでは2011年から統一球が導入され、極端な投高打低となったが、そんな中で2年連続でリーグ唯一30発を放った。2012年は故障欠場が多く、規定打席に届かなかったが31本。規定打席未達の本塁打王は史上初だった。

 そして2013年、王貞治、タフィ・ローズ、アレックス・カブレラが記録していたシーズン55本塁打のNPB記録を更新する60本塁打を打つ。3年連続での本塁打王。チームは最下位だったが、MVPに選ばれた。

 2015年は故障で15試合しか出場できなかったが、それ以外の年は総て30本塁打以上をマーク。タイトルには2014年の最高出塁率を獲得したのを最後に遠ざかっていたが、リーグ屈指の強打者として存在感を示していた。

4度目の本塁打王も視界に、250発は外国人選手歴代8位

 今季は9月4日終了時点で33本塁打、113打点と2部門でトップ。本塁打は31本でDeNA筒香、広島の丸、30本でチームメイトの山田が迫っているために予断を許さないが、打点は2位の中日ビシエドと23点差。初の打点王をほぼ確実にしている。

 バレンティンは60本塁打を打った2013年は131打点だったが、DeNAのブランコが136打点をマークし、打点王のタイトルを逃している。昨年まで100打点以上はこの2013年だけ。本塁打は打つがその割に打点が少ないという評価があったが、それを覆す機会になろうとしている。

 通算での本塁打は250本。外国人選手の通算本塁打数10傑に入ってきた。

1タフィ・ローズ464本
2アレックス・ラミレス380本
3アレックス・カブレラ357本
4レロン・リー283本
5ブーマー・ウェルズ277本
6レオン・リー268本
7ラルフ・ブライアント259本
8ウラディミール・バレンティン250本
9クラレンス・ジョーンズ246本
10タイロン・ウッズ240本

 バレンティンは来季シーズン中にはFA権を取得し、翌年には外国人枠から外れる。争奪戦が起こる可能性もあるが、ヤクルトのファンにとっては、何とか残留してほしいところだろう。

 まだ34歳、NPBの外国人記録をどれだけ更新するだろうか。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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