WRCトルコ:豊田章男社長も祝福。トヨタ、今季4勝目を初の1-2で飾りメーカー選手権首位に浮上

 WRC世界ラリー選手権第10戦トルコは9月16日、競技最終日のデイ4が行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing WRTは前日のデイ3で総合首位に立ったオット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)が2018年シーズン4度目の優勝。また僚友のヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)が総合2位に入り、チーム初のワン・ツー・フィニッシュを飾っている。
 
 大きな石や岩が転がる非常に荒れたグラベル(未舗装路)コースを舞台に争われた第10戦ラリー・ターキー。2010年以来、8年ぶりに開催されたこのイベントでは、本格的なグラベルラリーのスタートとなったデイ2から、参戦する各メーカーのマシンにトラブルが続出し、3日目にはトップ3を走るライバルたちが次々に戦線を離脱する“サバイバル”の様相を呈した。
 
 そんななか、マシンに過度の負担をかけないクレバーな走りで徐々にポジションを上げ表彰台圏内、トップへと浮上したタナクは、同じように順位を上げてきた2番手のラトバラに13.1秒のリードを築いて競技最終日を迎える。
 
 SS14~17の4SS、34.98kmで争われるデイ4でも首位のタナクは終始安定した走りを披露。また、2番手につけるラトバラもチームへの貢献を考え、無理なペースアップを避けた走りに徹した。
 
 その結果、ステージタイム上位者にボーナスポイントが与えられる最終SS17で3番手タイムを記録したタナクが第8戦フィンランド、第9戦ドイツに続き3連勝を達成。今季4勝目を挙げた。
 
 同ステージを4番手で終えたラトバラは、最終的にタナクと22.3秒差の総合2位でラリーを完走し、2017年に発足したチームにとって初めてとなるワン・ツー・フィニッシュに貢献している。
 
 このワン・ツーによってトヨタは、ヒュンダイ、フォード、シトロエンと争うマニュファクチャラーズタイトルで43ポイントを加算。第10戦開始時にランキングトップに立っていたヒュンダイを逆転してランキング首位となった。

■トミ・マキネン代表「まったくミスを犯さなかったタナクとラトバラに感謝」

トミ・マキネン代表

 また、シーズン4勝目を挙げたタナクもドライバーズランキング3位から2位に浮上し、ランキングトップに立つティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)との差を13ポイントに縮めている。
 
 なお、チームの3台目を走らせるエサペッカ・ラッピ(トヨタ・ヤリスWRC)は、デイ3でのクラッシュから再出走を試みるも、マシンにサービスでは修復しきれないダメージが見つかったため、最終日の走行を断念。今ラリーからリタイアすることとなった。
 
「今週もまた、素晴らしい週末になった! 最後まで集中力を絶やさず、まったくミスをしなかったオット(・タナク)とヤリ-マティ(・ラトバラ)に感謝するよ」と喜びのコメントを発するのはチームを率いるトミ・マキネン代表。

「このラリーは誰にとっても新しく、非常に高い技術を求められるステージがありミスをしやすいイベントだと私は見ていた。チームとクルマにとって大きなチャレンジだったが、素晴らしい戦いを実践し、良い結果を残すことができたと思う」

「チームは冷却系をはじめとするクルマ全体のレベルを高め、信頼性が大きく向上した。マニュファクチャラーズ選手権をリードする立場になったのは素晴らしいことだし、このままシーズンの終わりまで一生懸命努力し続けたいと思う」

 2018年シーズンからトヨタに加入し、エース級の活躍をみせるタナクは第10戦を次のようにふり返った。
 
「本当に難しいラリーだったよ。最初の時点で、このラリーで勝つためには速さよりも賢さが必要だと確信していたんだ」

「僕たちは誰よりも安定した走りをしていたと思うし、ラリー全体を通してトラブルと無縁で、ステージ上で止まるようなこともなかった。チームの素晴らしい努力が実を結び、本当に強いクルマに仕上がった結果だと思う」

■豊田章男社長「ヤリスも終始万全ではなく、思いっきり走れる状態ではなかった」

オット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)

 また、今回の勝利を受けてトヨタ自動車の豊田章男社長もコメントを発表し、優勝したタナクとチームに祝福と感謝の言葉を贈っている。
 
 豊田社長のコメントは以下のとおりだ。

「フィンランド、ドイツに続き、TOYOTA GAZOO Racing WRTは3戦連続で素晴らしい結果を得ることができました。応援いただいている全世界のファンのみなさま、本当にありがとうございます」

「トルコの戦いは、大きな石も転がる荒れた路面、高い気温など……車体、エンジン、タイヤなどクルマを構成するすべてに想像を超える厳しさがある道でした」

「その道を走りきり、素晴らしい結果とともにヤリスをゴールまで運んで来てくれたドライバー、コドライバー、そして、それを支えたチームのみんなにも感謝したいと思います。みんな、ありがとう。そして、おめでとう」

「ゴールまで戻ってきてくれたヤリスも終始万全ということはありませんでした。いずれのヤリスも、各々トラブルを抱え、ドライバーは安心して思いっきり走れる状態ではありませんでした。トラブルを補うよう運転に神経を使い、サービスにクルマを戻し、エンジニア、メカニックと共に改善して、再び道に戻る、その繰り返しで到達したゴールです」

「また、2位のポジションで3日目を終えたラトバラ選手は『チームメイトとチームのために最終日に臨んでいく』と自ら話してくれました。こうしてチームみんなで掴んだ結果を本当にうれしく思いますし、タナク選手、(コドライバーのマルティン・)ヤルベオヤ選手をはじめ、努力したすべてのチームメイトを誇りに思います」

「このチームにおいて、我々トヨタ自動車の仕事は、ドライバー達がもっと安心して走れるクルマをつくること。この素晴らしいチームメイトとともにさらなる喜びを分かち合うため、我々は“もっといいクルマづくり”を続けてまいります。ファンのみなさま、引き続き、応援よろしくお願いいたします」

3連勝で今季4勝目を挙げたオット・タナク/マルティン・ヤルベオヤ組

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