古河電工、新無酸素銅条を増産 回路基板メーカーで本格採用、半導体実装時の歩留まり向上

 古河電工は20日、独自の金属組織制御技術で耐熱性を高めた新無酸素銅条「GOFC」が回路基板メーカーに本格採用され、増産体制を整えたと発表した。高温で熱処理しても金属結晶が大きくならず、半導体実装時の画像検査で支障になる光の反射を抑えられることなどが特長。半導体メーカーの歩留まりを大幅に高められる。電動車などで需要が拡大するパワー半導体関連需要の捕捉を目指しており、2019年には生産数量を月間20トンに倍増させたい考えだ。

 パワー半導体を実装する基板はセラミックスを熱伝導性などに優れる無酸素銅条で挟み込んだ構造。これまでは基板メーカーが張り合わせる際の熱処理で、結晶粒が粗大化し銅条の反射率が高まることが課題だった。画像検査の精度向上ニーズに対応して古河電工では生産プロセスを工夫。冷間圧延や焼鈍の条件を最適化して、結晶粒の成長を従来の無酸素銅条の10分の1以下とすることで、反射を抑え画像検査の精度を高めた。

 高機能な材料の提供により直接の顧客である基板メーカーの競争力を高められるほか、その先にある半導体メーカーの歩留まりを改善できる。従来品と同じ成分のため客先での切り替えや承認の手続きが容易なことも特長。

 同社ではシャフト炉と呼ばれる大型の溶解炉で無酸素銅条を効率的に大量生産できることが強み。顧客メリットを高められるGOFCの拡大により無酸素銅条の差別化と高付加価値化を進める。製造は既存設備で可能。日光事業所(栃木県日光市)では製造・検査時の熱処理条件などを整えて増産を進める。今後は加熱しても結晶粒が粗大化しない特性を生かして、パワー半導体用基板に加えクラッド材やヒートシンク周辺部材の需要にも期待している。

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