リージョの命運を握る、神戸5人のキーマン

先日、ヴィッセル神戸の監督・コーチ陣の新体制が発表され、指揮官の座には理論家として世界的に有名なフアン・マヌエル・リージョが就任することになった。

ポゼッションサッカーの先駆者であり、あのジョゼップ・グアルディオラにも大きな影響を与えたと言われる彼には神戸のバルサ化の速度を急激に速めることが期待されている。

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その新監督の理想のサッカーを体現する上で、大きな役割を果たすことが期待される選手とスタッフを紹介しよう。

アンドレス・イニエスタ

まずはこの選手を紹介しないわけにはいかないだろう。

リージョ監督はかつてイニエスタを世界最高の選手だと称え、リオネル・メッシよりも優れていると発言したことがある。そして、ここ日本の地でイニエスタが選手として、リージョが監督として共闘することになった。

リージョ監督が神戸を新天地として選んだ理由にイニエスタの存在は間違いなくあるはずだ。リージョが監督として最もポゼッションサッカーへの理解が深いとすれば、選手として同スタイルへの理解が深いのは世界で見てもイニエスタが一番だろう。

彼らの共演は世界でも注目されている。

古橋亨梧

この夏にJ2から個人昇格を果たした快速ウインガー。

前所属のFC岐阜もパスをつなぐ攻撃的なサッカーをプレーモデルとしていたため、同じスタイルのリージョ監督のサッカーにも問題なく適応できるだろう。

神戸は昨シーズンのドリブル数がリーグ最低で、今シーズンもここまで同様に最低を記録しており、この瞬発力に優れたドリブラーにかけられる期待はとても大きい。

また、強みはドリブルだけでなく、プロ2年目の今シーズンは得点力にも磨きをかけた。個人目標であった2桁得点をわずか半年で達成し、J1でも既に2得点と早くも結果を残している。

なお、彼の本名は「匡梧」で実はプロ入り前にブレイクを誓って改名した。その効果は新体制下でも続いていくだろう。

大﨑玲央

古橋と同じく、この夏にJ2の徳島ヴォルティスから新たに加入したDF。

ビルドアップで貢献できるセンターバックを求めていた神戸の補強リストには以前から上位に入っており、この夏届いた正式オファーを受けて加入を決めた。

元々中盤の選手ということもあって足下の技術に定評があり、機を見た最終ラインからの大胆なドリブルは見ものだ。中盤に高さを求める場合はアンカーでの起用も十分に考えられるだろう。

大学卒業と同時にアメリカへ渡り、現地で2年間プレーした経験もあり英語はペラペラ。ルーカス・ポドルスキやウェリントンとは英語で問題なくコミュニケーションを取れ、多国籍なチームの中でその語学力は貴重だ。

志向するスタイルが前所属チームと同じだけでなく、徳島のリカルド・ロドリゲス監督はリージョ監督から大きな影響を受けていることで有名。

そのため、ポゼッションサッカーへの理解度も既に高く、その存在は大きくなるばかりだ。

林健太郎(アシスタントコーチ)

三浦淳宏スポーツダイレクターに声を掛けられ、今シーズンからアシスタントコーチに就任し、リージョ監督の就労環境が整うまでの間は暫定監督として指揮を執ることを任された。

楽天がFCバルセロナのメイングローバルスポンサーを務める繋がりから、今年の初めに神戸のスタッフとしてバルセロナの指導者研修に参加したことは日本でも話題になり、その研修にバルセロナの関係者以外が参加するのは初めてだということで「事件」として報道された。

そこでは新しく知ることばかりで、多くの学びや盗みがあったという。それらのエッセンスがどうチームに還元されるか楽しみである。

暫定監督としての初陣は不本意な結果ではあったが、新システム挑戦や選手のコンバートも見られ、新鮮さがあった。リージョ監督就任後もアシスタントコーチとしてチームを支える。

在原正明

リージョ監督の通訳担当として新たに神戸にやってきたスペイン語通訳者。ただ、そのキャリアは通訳者の枠に収まらない。

2007年から2シーズンの間Fリーグに所属するバルドラール浦安の通訳兼コーチとして活躍した後、2009年からフットサル日本代表のコーチ兼通訳に就任。翌年からはフットサル日本女子代表監督も兼任していた実績を持つ。

監督通訳の重要性が叫ばれる現代、多くの識者から「スペイン語通訳者としてこの人以上の人材はない」と言われるほど評価も高い。非常に難解だと有名なリージョ監督の理論を選手に伝えるパイプの役割は想像以上に大役だ。

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