日立金属とシンガポール研究機関、金属積層造形で共同組織設立 次世代技術開発を加速

 日立金属は1日、シンガポール科学技術研究庁の研究機関「シンガポール製造技術研究所」(シムテック)と金属積層造形に関する共同研究組織を同日開設したと発表した。シムテックは金属積層造形で世界最高レベルの研究水準を持つ。日立金属は今年4月開設したグローバル技術革新センター(GRIT、埼玉県熊谷市)の研究棟に大型3Dプリンタ装置を導入するなど、金属積層造形分野の開発、事業化に本格参入している。シムテックの製造技術と日立金属の金属粉末開発技術を融合させ、次世代の金属積層造形の技術開発を加速する。契約期間は2021年9月末までの3年間。

 シンガポール政府は、アジアにおける研究開発活動の中心的役割を担うべく、政府、民間企業、研究機関との共同研究、実証実験を積極的に推進している。金属積層造形に関する研究開発はシムテックを中心に注力している。

 日立金属は昨年4月、中長期の先端材料研究開発や次世代を担う新事業の創出を狙いにコーポレート研究所「GRIT」を新設し、今年4月に新研究棟を開設した。その一例として金属積層造形や造形用の金属粉末の開発に取り組み、また金属積層造形に限らず国内外の研究機関や学術機関、民間企業とのオープンイノベーションを積極的に推進している。

 共同研究組織「SIMTech - Hitachi Metals Additive Manufacturing Lab」はシムテック施設内に開設した。日立金属はシムテックの金属積層造形技術を活用することで金属粉末の開発を加速し、シムテックは金属積層造形の製造技術や評価技術の開発を加速する。

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