日本代表で見てみたい!国内外で活躍が光る「新戦力候補」5人

12日にパナマ、16日にはウルグアイと行われる親善試合に向けての日本代表メンバー23名が発表された。

前回招集されたメンバーとは大きく異なるのは、今回はロシアW杯を戦った主力メンバーが多数招集されたこと。「新旧」の融合を試すかのような顔ぶれとなったことにより、当然ながら今までには見られなかった陣容で試合に挑むことが予想され、森保一監督の采配にも大きな注目が集まるところだろう。

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だが、一方で少し物足りなかった点が、先月の代表戦とは異なり、いわゆる「ニューカマー」が抜擢されなかったことだ。

コスタリカ戦で成果を上げた選手にW杯メンバーを合わせた構成のため、必然的に代表枠は限られたものにはなるが、それでも代表リストに新たな名前が追加されたなかったことは少々残念ではあり、このような気持ちを抱えたのは筆者だけではないだろう。

ここでは筆者が個人的に推薦する「新戦力候補」を取り上げ、次回の代表戦で招集されることを祈ろうと思う。

都倉賢

北海道コンサドーレ札幌
FW
32歳
187cm/80kg

今季のJリーグ(10月5日時点)において、ここまで二桁得点をマークしている日本人FWは、CSKAモスクワへ移籍した西村拓真を含めて5名存在する。トップは言うまでもなく日本代表にも二か月連続で招集された小林悠で、そのゴール数は14である。

だが、最も効率良くゴールネットを揺らしている男を知るものは意外と少ないかもしれない。その男とは「ミシャサッカー」の下で晩年の成長期を過ごしている都倉賢だ。

彼はここまで1749分プレーして12得点をマークしているが、これは約145分で1得点のペースであり、小林悠(約148分)、興梠慎三(約191分)、鈴木優磨(約202分)を上回る数値。

今季は途中出場も多く、最前線ではなく1.5列目での起用も求められる中でのこの成績は見事の一言だろう。

「年齢が…」と日本代表入りに懐疑的な目で見る向きはあるかもしれないが、最も堅実に成果を残している選手に声が掛からないのは少々疑問ではある。

彼のような選手が呼ばれることにより、まだ日の丸を身にまとったことのない選手、特に「ベテラン」と名付けられる選手にとって大きな活力になるとも思うのだが…。

仲川輝人

横浜F・マリノス
FW
26歳
161cm/57kg

J1の世界では“異質”と称されるチームスタイルを貫き、天野純のようなA代表に選出されるプレーヤーまで輩出した横浜F・マリノスだが、このチームの中で現在最も好調なのが仲川輝人だ。

今季途中から出場機会を得るとそのままレギュラーポジションを奪取。持ち前のアジリティと緩急を活かしたドリブル突破、そして、勇猛果敢なシュートチャレンジを武器にこれまで幾度となく決定的な仕事を果たしている。

常にゴール方向にベクトルが向かうその姿勢は結果にも表れており、J1初得点の勢いをそのままに積み重ねたゴール数は7(※10月1日時点)。これはチームトップスコアラーであるウーゴ・ヴィエイラに次ぐ数字である。

2015年に専修大学から鳴り物入りで横浜F・マリノスに加入後するもプロの壁に打ちひしがれ、過去2シーズンはJ2でのレンタル生活も経験。彼の苦難の時期を知る者にとっては、この飛躍は心打たれるものがあるだろう。

日本人選手には数少ない「サイドを起点にしながらも自らゴールを奪える」という特筆すべきタレント性を持っているだけに、この勢いと姿勢を崩さず、そのままA代表へと駆け上がって欲しいものだ。

江坂任

柏レイソル
MF
26歳
175cm/67kg

柏レイソルのチーム状況は一部サポーターが「救いようがないほど深刻」と悲観的に語るほど散々なものである。しかし、このところの話で言えば、決して試合内容は悪いものだとは言えず、「ゴールも奪えているが勝ち点を落とす」という何とも煮え切れない日々を過ごしている。

しかし、そのようなチーム状況の中で今季存在感を放っている一人が江坂任である。

ここまでチームトップの8ゴールをマークして、既に大宮アルディージャ時代の2016シーズンに記録したゴール数に到達。アシストも4つ上げており、文字通り、攻撃の中心として重要な役割を担っている。

彼の最大の武器はその得点能力の高さで、左右両足を自在にこなす正確なシュート、そして空中戦の強さを活かして味方のクロスボールに合わせる形も持っている。GKとの一対一では相手の挙動を最後まで見極められる冷静さも光り、ゴールポストやバーに嫌われることがなければ、自身が「マストの目標」と語る二桁得点は容易に到達していただろう。

また、ゴールゲッターとしての能力はさることながら「起点となる技術」も触れなくてはならない長所である。決して体のサイズは大きくはないが、状況把握の巧さとポストプレーの安定感があり、DFとMFのライン間に絶妙のタイミングで顔を出してのボールキープは柏レイソルの中でも戦術の核となっている。

無論、「日本代表入り」という観点で見れば、現状ではその可能性は決して高いものではない。特に彼が勝負しなくてはならない1.5列目は、決して一筋縄では割り込めない狭き門であるためだ。

しかし、最前線や本職のトップ下だけではなく中盤のサイドでの起用も応えることができ、さらに「活かす側」と「活かされる側」の両方で貢献できる彼のようなタイプが面白い存在であることは事実である。

さらなる成長が必要であることは間違いないが、前田直輝(名古屋グランパスエイト)らと共に代表入りを狙えるポテンシャルを秘めている一人であると筆者は見ている。

吉田豊

サガン鳥栖
DF
28歳
168cm/69kg

これまでユース年代を除いて日本代表に縁がなかった選手ではあるが、Jリーグを追っているものであれば、彼が「日本最高峰のサイドバック」であることは、言わずもがなの話だろう。

対峙した選手が「抜ける気がしない」と舌を巻くほどの圧倒的な対人能力はずば抜けたものがあり、一度自分の間合いに持ち込んでしまえば、実力十分のサイドアタッカーですら封殺されるレベルだ。

また、攻撃面も年々レベルアップしている印象があり、今季は数字の面では寂しい(ここまで1ゴール1アシスト)ものの、組み立ての面での貢献度は高い。中盤の福田晃斗らとの連携から左サイドの奥深くまで進入して、「キーパスの一つ前の仕事」を巧みにこなすシーンも少なくない。

そして、筆者は彼の日本代表入りを推す一人だが、その最大の理由はユーティリティ性を持っている点である。

森保ジャパンは初戦では4バックを選択したが、サンフレッチェ広島や五輪監督時代に好んで使用していた3バックを採用するケースは想定され、現代サッカーのトレンドである「試合中に3バックと4バックを使いこなす」という戦術を取り入れるケースも考え得るだろう。

そうなれば、サイドバックとウインバックを高水準でこなせる選手が重宝されるが、そこで活きてくるのがサガン鳥栖で両方のポジションで起用されているという吉田の利点だ。さらに彼の場合は、右サイドも清水エスパルス時代に経験しており、両サイドバックと両ウイングバックへの対応可能というボーナスまで付いている。

このポジションには安西幸輝(鹿島アントラーズ)、山中亮輔(横浜F・マリノス)らを筆頭に活きの良い「未来の代表候補」が控えているが、現時点でより計算が立つのは吉田ではないだろうか。

久保裕也

ニュルンベルク
FW
24歳
178cm/72kg

最後に「新戦力」というニュアンスからは外れるかもしれないが、森保一体制では未招集でなおかつ「非W組」であるため、彼の名前も代表候補として挙げておきたい。

「W杯メンバーからの落選」という悲劇を経験した時に自身が感じたものは「欧州のトップリーグでプレーしていないとダメ」という危機感だったようだが、その後に期限付き移籍で参戦したブンデスリーガにおけるプレーは強い覚悟を感じさせるものだ。

前回、今回と日本代表に戻るチャンスを得られなかったが、現地での評価はすこぶる高く、地元メディアからは「中盤のベストプレーヤー」と称賛を浴びるほど。ニュルンベルクの指揮官ミヒャエル・ケルナーからはチャンスメイカーとしての能力を買われ、ここまで5試合に先発出場し、左サイド、トップ下、FWとフル稼働している。

まだゴールこそないがそのパフォーマンスは安定しており、「主力として継続的に試合に出場している」という点で評価すれば、今回招集された海外組と比較してもトップクラスと言えるだろう。

おそらく、森保一監督の選手リストの中に彼の名前は入っているはずだ。コスタリカ戦で堂安律、南野拓実、中島翔哉らが魅力的なパフォーマンスを見せたことにより、彼が付け入る隙が生まれなかっただけと考えるのが適切である。

後は所属クラブで目に見えた結果が欲しい所だが、この調子を維持すればそう遠くない未来にブンデスリーガ初得点も訪れることは間違いない。そして、11月の代表戦では再びA代表の一員に返り咲くことを信じている。

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